2010年08月26日
日化協が「LRI10周年記念国際シンポジウム」を開催
【カテゴリー】:環境/安全
【関連企業・団体】:日本化学工業協会

日本化学工業協会は、「ヒトの健康や環境に及ぼす化学物質の影響に関する長期的な研究支援活動:LRI(Long−range Reserch Initiative)」が10周年を迎えたのを記念して26日、東京・大手町の経団連会館国際会議場で「LRI10周年記念国際シンポジウム」を開催した。

まず、主催者を代表して小林喜光・三菱化学社長(ICCA-LRI運営委員)が「日本ではLRIについて2000年から内分泌かく乱物質、化学発がん、過敏症の3分野の研究領域からスタートさせ、現在では生態毒性、発がん、免疫毒性、神経毒性などの分野にも研究対象領域を広げ、活発な活動を展開している」と挨拶、さらに「今後も、LRI活動の成果を欧米に積極的に発信していきたい」と強調した。

委員長挨拶で小野嘉夫・東京工業大学名誉教授(LRIピアレビュー委員会委員長)が「一般の研究と違うのは、長期的視野であり、自主的な取り組みという点である。10年を迎え、その成果が表れてきたといえる」と語った。

来賓挨拶では川上景一・経済産業省大臣官房審議官(製造産業局担当)が「LRIは、化学産業の更なる発展に不可欠であり、その取り組みの成果に期待が集まっている」と指摘した。

このあと、10年間に蓄積された知見や成果について報告が行われた。具体的には、国際化学工業協会協議会(ICCA)LRI担当のジャネット・モストウィ氏と米国化学工業協会(ACC)のLRI担当のティナバハドリ氏が「ICCA—LRI報告〜LRI研究グローバル展開の成果について」と題して講演した。またライオンのLRI戦略・調整ワーキンググループリーダーである福島明氏が「JCIA—LRI報告〜LRI研究10周年を振り返って」と題して講演を行った。

休憩を挟んで、記念講演として米国環境保護庁のエレイン・コーエン・フバル氏が「化学物質の新しいばく露評価手法」と題して、欧州共同研究センターのエルケ・アンクラム氏が「政策決定における科学とリスクアセスメントのかかわり」について、食品薬品安全センター秦野研究所の田中春穂が「Bhas42細胞を用いた形質転換試験による非変異および変異がん物質の高感度短期検索法」について、オランダのワーニング大学教授のリン・フルーワー氏が「リスクコミュケーションと政策」について、それぞれ講演した。

閉会後、経団連ホールの「LRI10周年記念式典・パーティー」で、参加者による意見交流が活発に行われた。
なお、27日には午前10時から国際会議場で「第9回日化協LRI研究報告会」が開催される。