2010年09月02日 |
米国のシェールガス開発に大手商社の名乗り相次ぐ |
【カテゴリー】:経営 【関連企業・団体】:住友商事、三井物産、三菱商事 |
米国やカナダのシェールガス開発プロジェクトに、わが国大手商社が相次いで名乗りをあげている。 住友商事は1日、米Rex社のマーセラス(ペンシルベニア州)・シェールガス開発プロジェクトへの参画を発表したが、一週間前の8月24日には三菱商事がカナダ・ペン・ウエスト社の開発事業に参画すると発表。また今春2月16日には三井物産が住商と同じ鉱床のマーセラス・シェールガスを、別の石油会社であるアナダルコ社と共同開発すると発表している。 住友商事はまた、2009年12月にテキサス州バーネット・シェール・フィールドでのシェールガス開発事業に日本企業として初めて参画し、現在順調に生産を進めている。 ■シェールガスとは何か。今なぜ注目されているのか。日本の資源やエネルギー市場への影響はどうか。 シェールガスとは、一般に「低い地層中に含まれる天然ガス」のことをいうが、2000年以降米国各地で、相次いで巨大シェールガス鉱床が発見されたことからにわかに注目され、開発プロジェクトが相次いだ。 現在、米国で4大シェールガスといわれているのは、Barnett、Fayetteville、Haynesville、Marcellusの4鉱床。それにカナダのMuskwa地区を加えた5地域で開発・生産が同時進行中である。 「低い地層中」に含まれているといっても、「ガスが賦存しているのは浅いところで地下1000メートル。通常1500~2000メートルですからそう浅いというわけでもありません。しかし、石油やLNGに比べれば、開発や生産にかかるコストは、はるかに安いです」(住友商事)という。 開発や生産だけではない。LNGの場合は貯蔵や輸送に「液化」が必要であり、そのためにガスを冷却・加圧しないといけない。シェールガスはそのまま一般家庭へ運び使用できる。米国では住宅地域のほぼ全域に細かくパイプラインが張り巡らされているから、「輸送コスト」はかからない。 住友商事では「米国のLNG販売価格は、足元のところでMMBTU当たり4-8ドルですが、シェールガスは3-5ドルで十分供給可能です」と、LNGとのコスト競争力に自信をみせている。 しかし、シェールガスもこのまま開発競争が進めば、やがて“過当競争”に陥り、市場が混乱するのではないか。「その場合はシェールからLNGに置き換わっていくでしょう。LNGは現在ほとんど輸入品です。その分の輸入が減るでしょう。シェールガスがだぶつくことにはならないと思います」(住友商事) 日本への影響も直接にはなさそうだ。「LNGの国際市況が下がって、買いやすくなるのでは」というのが同社の観測だった。 (既報) 2010年09月01日 住友商事、米Rex社のマーセラス・シェールガス開発プロジェクトに参画 http://www.chem-t.com/cgi-bin/passFile.php?NCODE=29710 2010年08月24日 三菱商事、カナダ・ペン・ウエスト社のシェールガス開発事業に参画 http://www.chem-t.com/cgi-bin/passFile.php?NCODE=29661 2010年02月16日 三井物産 米国内でシェールガス開発へ プロジェクトに参画 http://www.chem-t.com/cgi-bin/passFile.php?NCODE=28414 |