2010年09月15日
東レ、高い耐熱性と表面硬度両立の「高成形二軸延伸PETフィルム」開発
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:東レ

東レは15日、ナノテクノロジーの応用によりポリエステル(PET)フィルムの特性を維持しながら、成形性を大幅に向上させた「高成形二軸延伸PETフィルム」を開発したと発表した。

耐熱性の指標である熱収縮率が150℃で1.2%以下、フィルム表面の傷のつきにくさを示す表面硬度:Hを達成しつつ、150℃での破断伸度が280%と、高い成形性を実現した。

また、100ミクロン以上の厚膜フィルムに対応できるほか、ハードコートや印刷との密着性も高めたことで、加飾成形用途における展開が期待できる。

同フィルムは、同社独自のポリマー設計・アロイ技術とフィルム積層制御技術を融合して実現した。

フィルムの成形性を高めるため、ポリマー鎖の分子運動性向上を着想し、構造解析技術を活用してアロイ成分を設計した。さらに、独自の溶融混練技術によってナノレベルのアロイ化を実現することで、結晶化度はそのままに、PETの可動非晶量を1.5倍に増大させ、耐熱性と高い成形性を両立した。

また、独自の「ナノアロイ技術」と製膜時の積層技術を融合し、表面硬度の高い“ナノアロイ”層を、高精度に積層した。これにより、従来PETフィルムの優れた表面硬度と高い耐熱性、耐薬品性を損なうことなく、複雑な立体形状にも対応できる高い成形性を同時に実現した。