2010年09月22日
農水省が来年度「アグリ・ヘルス実用化研究促進プロジェクト」に着手
【カテゴリー】:行政/団体(新製品/新技術)
【関連企業・団体】:農林水産省

農林水産省は、来年度から10年計画で医療分野との連携により新たな産業・市場を創出する「アグリ・ヘルス実用化研究促進プロジェクト」に取り組む。

平成32年度を最終年度とする政策目標は次の通り。
(1)コメの形のスギ花粉症治療薬を実用化
(2)カイコを用いた軟骨再生材料、人工血管等の医療用新素材を実用化
(3)牛等の動物由来の原料を用いた皮膚再生用素材等の医療用新素材を実用化

スギ花粉症治療薬では、スギ花粉症の主要な抗原ペプチドを白米部分に蓄積させるコメを開発する。このコメを摂取することで、減感作用(いわゆる「慣れ」)が誘導され、スギ花粉症の治癒が期待される。

カイコを用いた医療用新素材の実用化では、ヒトの組織になじみやすい絹糸を産生するカイコを開発する。これまで臨床に応用できるものがなかった小口径人工血管の実用化が期待される。

動物由来の原料を用いた医療用新素材の開発では、高密度コラーゲングルに薬効成分を含ませて患部に貼り付ける創傷被覆材を「再生医療用素材」として実用化を図る。高密度コラーゲングルを用いて皮膚や細胞を立体的に培養することで動物実験の代替法となる「動物実験の代替素材」実用化も期待される。

これら3つの政策目標を達成するため、平成26年度までに「実用化に向けた安全性・有効性に関するデータの蓄積」を行う計画である。同省は初年度の23年度予算で6億1800万円を要求した。