2010年09月30日
宇部興産、タイのカプロラクタムチェーン 大幅強化
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:宇部興産
ウベケミカルズアジア社 カプロラクタム製造設備

宇部興産は30日、中国などアジア地区でのカプロラクタム・ナイロンの需要拡大に対応するため、タイの子会社であるウベケミカルズアジア社のカプロラクタム・ナイロン生産能力を増強すると発表した。

■カプロラクタム生産能力の増強
総投資額約30億円で年産2万トンの増強を行う。2011年12月に完工し、2012年1月から商業運転開始の予定。
これにより、同社のカプロラクタム生産能力は同13万トンとなる。

ウベケミカルズアジア社は、ナイロン6新設備の稼動開始(下記)に伴い、カプロラクタム外販量が減少するため、能力増強によって供給能力の不足に対応することにした。

ナイロン6は特に中国をはじめとするアジア市場で順調な伸びを示しており、樹脂(エンジニアリングプラスチック)用・繊維用ともに旺盛な需要が続いている。このため、同地域では昨年来、ナイロン6の大型重合プラントが相次いで立ち上がり、カプロラクタムの供給が足りない状況になっている。

ウベケミカルズアジア社 ナイロン6製造設備
■ナイロンコンパウンド生産能力の増強
インテークマニホールドなど自動車部品向けの需要が好調なナイロンコンパウンドも、年産5,000トンの能力増強を行うことを決めた。2011年12月に完工し、2012年1月から商業運転を開始する予定。
この増強により同社のナイロンコンパウンド生産能力は年産1.1万トンとほぼ倍増する。

ナイロンコンパウンドは現在、二輪・四輪車向けがほとんどだが、今後は自動車向けとして中国・インド・東南アジア地区で需要伸長が期待される。

■ナイロン6新設備
建設を進めていたナイロン6樹脂の増設新設備(5万トン/年)が今年10月から段階的に商業生産に入る。同設備はマプタプット工業団地およびその周辺地域(ラヨーン県)で起こされた、一連の行政訴訟により一時停止していたが、先にタイ中央行政裁判所が事業再開を認めた。これにより当初計画から1年遅れての操業開始となった。

【ウベケミカルアジア社の概要】
● 設立 :2010年2月1日
● 所在地 :(本社)タイ王国バンコク市 (工場)タイ王国ラヨーン県
● 代表者 :Dr.Charunya Phichitkul(チャルニア ピチットクン。宇部興産常務執行役員兼務)
● 資本金 :8,804百万バーツ
● 出資比率: 宇部興産(株)約93%、丸紅グループ約6%、その他約1%
● 事業内容:ナイロン樹脂、ナイロンコンパウンド、カプロラクタム、硫安、その他製品の製造・販売
● 従業員数:493名


ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file2_1285815698.pdf