2001年03月16日
Eコマース、明確な戦略をもって推進~BASFのウェイン氏
年内めどに自社のグローバルポータルサイトをスタート
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:BASF

 世界の化学メーカーが競うようにEコマースへの取り組みを強化、加速させているが、その中でもEコマースに最も力を入れている企業の一つがBASFだ。BASFグループ・グローバルEコマース最高責任者であるウェイン・ヒル氏がこのほど来日、同社のEコマース戦略について語った。
 まずウェイン氏は、世界の化学市場は1兆3,500億ユーロ規模(1999年)となっており、このうち9%の金額が設備を含めた投資に充てられており、「これをどう活用していくかが重要」とし、また「1,000万人が使いこなせるようになるのに、ファックスは22年、電話は9年、パソコンは6年かかったが、インターネットブラウザーは1年もかからなかった」と、インターネットの普及の早さを語った。そして、Eコマースで成功するための条件として、マーケット戦略に沿ったものであること、顧客重視の姿勢を持つこと、必要性や労力に応じて優先順位を付けること、標準化を追求すること--の4点を挙げた。
 同氏は、「Eコマース戦略とはすなわちビジネス戦略であり、どこにゴールを決め、マーケットの状況、動向を把握し、ターゲットとする顧客にどのようにアプローチするか、またその中でEビジネスが果たす役割を考え、プランを立てることが重要である」としている。また、同社はこれまでにケムコネクトや 世界の大手化学メーカーが参加しているエレミカ、射出・ブロー成形産業を対象としたオムネクサス、欧州を中心としたccマーケットなど、いわゆるEマーケットプレース(電子商取引市場)に参加しているが、年内をめどに自社による「グローバルポータル」サイトの立ち上げを目指していることを明らかにした。
 BASFのグローバルポータルのビジョンは、“世界中のどこにいても、またどんな人でも同社の製品および情報を得ることができる”ことを目指す。このため、同社はすでに全世界で独SAP社のERP(業務統合管理パッケージ)を導入、顧客番号、製品番号などを含めたデータを共通化しているが、たとえ異なる言語で表示されていてもウェブデザインを統一しているため、全ての人が同じ手順で同じ情報にアクセスすることができる。
 またデータ交換用の言語は、多くの企業が採用しているCIDX(Chemical Industry DATA Exchange)のChem E Standardを用いている。同社はこれまでにEビジネスの強化・構築にに2億2,500万ドルを投じており、今後も 必要に応じて投資を惜しまない考えだが、昨年は売上の10%がEコマース による取引に置き換わっている。また欧米を中心に1,000を超える顧客と 電子取引を行っているが、グローバルポータルを構築してこれを全世界のBASFでスタートさせる考え。
 最後にウェイン氏は、「Eコマースは決して魔法ではない。明確な戦略を持ち、問題を見極め計画を立てる必要がある。また組織のトップから率先して戦略を推進していかなければならない。そして、何が、いつ、どのように変わるのかを先取りし、Eコマース部門と事業部門がコミュニケーションを重ね、一緒に仕事をしていくべきである」と語った。