2001年03月15日
武田薬品、ウレタン原料TDIに「超臨界技術」実証に成功
神戸鋼と共同研究「残渣少なく環境にもやさしい」
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:武田薬品工業

 武田薬品工業は、ポリウレタン原料のTDI(トルイレン・ジイソシアネート)製造工程に「超臨界水」を利用する研究を進めてきたが、このほど鹿島工場のパイロットで実証試験に成功した。研究は神戸製鋼所と共同で行い、TDIの収率、産業廃棄物の低減に効果があることが確認されたという。
 TDIはトルエンを出発原料とし、ニトロ化、ホスゲン化工程を経て中間体のTDA(トルイレン・ジアミン)としたあと蒸留、精製して製品化する。しかし蒸留段階で相当量のTDA残渣が副生されるため、回収処理が技術上の課題となっていた。
 武田薬品では超臨界水のもつ反応溶媒特性に着目して、TDA蒸留工程にこれを利用しようと温度、圧力、加水比などの条件、プロセス研究を行ってきた。得られたTDAをホスゲン化させ、製品としてのTDIの品質評価も実施。
 この結果蒸留残渣が少なく、回収も容易な実証プラントを完成、工業的にも有効であることを確認した。
 まだ実証試験段階だが、プラントを開発した神戸製鋼所では「超臨界水を溶媒として利用するので環境にもやさしい。世界初のオリジナリティのある工業化プラントになると思います」と話している。