2001年03月14日 |
三菱レイヨン、繊維型DNAチップでオープンラボ開設、生産設備を導入 |
今秋からユーザー向け受託生産品を出荷 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:三菱レイヨン |
三菱レイヨンは14日、昨年秋基本製造技術を完成した「繊維型DNAチップ」について、4月下旬に横浜市の化成品開発研究所に専用オープンラボを開設、同研究所内に生産設備を新設し、事業化に向けた活動を本格化させる、と発表した。専用オープンラボで国内外研究機関を中心としたユーザーのニーズを捉え、生産設備でこれを迅速かつフレキシブルに製品化する体制を整備し、事業化を加速していく考え。 DNAチップは、血液などの検査試料に含まれる遺伝子を一度に検出するツールで、遺伝子解析や遺伝子診断、新薬開発など、テーラーメード医療への応用が期待されている。専用オープンラボは、これら広範な用途に対するユーザーのニーズの収集を目的に開設する。同社のDNAチップは、遺伝子の入った繊維を整然と配列して束ね、これを樹脂で固定した後スライスするという、シンプルな手法で製造される。このため用途によって変化する遺伝子の種類や数など、ユーザーのニーズにフレキシブルに対応できる。また、この製造法により、低コストと信頼性を両立しているという。 専用オープンラボでは、試作品を用いたプレゼンテーションを行い、繊維型DNAチップの使用法や性能などを紹介、またユーザーのニーズに個別に対応して受託製造し、取得したデータを提供する。同ラボでユーザーとの技術ディスカッションを通じ、ニーズと同社の技術の融合を図ることにより、自社技術のブラッシュアップと多岐にわたる応用分野への展開を目指す。 一方同社は、すでに少量生産サンプルの出荷体制を整えているが、中量生産化を目的とした生産設備の導入を決定、ユーザー向け受託生産品の出荷を今秋から開始する。同生産設備は、将来の量産体制の中核をなす設備で、製造プロセスの徹底的なユニット化を図るなど、製造技術の進歩に柔軟に対応可能な設計思想を有している。また、初期の生産能力は年産10万枚規模。 なお同社は、昨年11月、事業企画開発室内に専門組織「ゲノムディバイスグループ」を設置、ゲノム業界の急速な動きに対応すべく、スピードを意識して具体的な検討を進めてきており、さまざまな形態での共同開発・提携を視野に入れ、現在国内外の数社と接触している。今後も専用オープンラボを拠点として、幅広いユーザーと接触を図り、繊維型DNAチップの商品開発を推進していく考え。 |