2010年11月05日
ノーベル化学賞受賞の鈴木教授と根岸教授が初の合同会見
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:日本化学会
記者会見する鈴木(左から2人目)、根岸(その右隣)の両氏

日本化学会は5日、東京都千代田区の化学会館で、2010年ノーベル化学賞受賞者の鈴木章・北海道大学名誉教授、根岸英一・米国パデュー大学特別教授による受賞後初めての合同記者会見を行った。
まず、受賞後の印象を聞かれ、鈴木教授は「第一報の連絡をもらってから、もう1カ月になります。そろそろ、ゆっくりさせてほしい、と感じています」。根岸教授は「50年の夢がかなった、という気持ちです」と語った。

若手研究者に勧めることについて、鈴木教授は「ブラウン教授のところに行ったのは1963年でしたが、今でも外国に行くことを勧めたい。
外国に行くことの効用は、外国人の気持ち、考え方がわかるようになること、友人ができること、英語を理解できるようになることであり、
できるだけ多くの人に外国に出て行ってほしい」と語った。

一方、根岸教授は「化学のコンペティションの場は世界である。最高の場に行ってみる必要がある。その場合、語学が問題になる。英語が世界語であり、若い人には、英語を修得すること、追求することを勧めたい。その先にノーベル賞があり、自分の人生があると思ってほしい」と強調した。

企業・産業界へのメッセージについて根岸教授は「研究開発からスタートして実用化するまで、発見、開発、応用という各段階がある。発見は学問のレベルでの課題だが、開発は学問と企業とが協力することが大事である。応用では企業が担う。このように企業の役割は極めて大きいといえる」と指摘した。鈴木教授は「産業界と学界の協力は重要である。企業は大学院のドクターの優遇について、ぜひ見直してほしい」と指摘した。

最後に、若い人へのメッセージについて根岸教授は「舞台は世界である。そのとき重要なのはコミュニケーションとしての英語、特にブローキングイングリッシュである。学問の原点は夢であってほしい。夢をトコトン追求してほしい」と強調した。鈴木教授は「若い人の理科離れが心配でならない。自分で考えて、興味を持って、面白いと思ったら突き進んで行ってもらいたい」と強調した。