2001年03月12日
次世代光ディスク向け材料、依然ポリカーボネートにアドバンテージ
高いコストパフォーマンス/他素材は今後の低価格化が鍵
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品
【関連企業・団体】:なし

 DVDをはじめ、今後も様々な次世代光ディスクの登場が予想されているが、同用途の材料としては依然PC(ポリカーボネート)が有力視されている。性能面ではPCを上回るものが出てきているものの、コスト面ではまだ大きな開きがあり、普及には大幅な低価格が必要となっている。
 光ディスクは、当初の音楽用途からデータ記録用途へと拡がり、現在はCD-ROM、CD-R/RW、DVD、MOなど種類も多岐にわたっている。いわゆる次世代と言われる今後の光ディスクは、大容量化を実現するために高密度化する必要があり、基板として用いられる材料に要求される性能もより厳しくなってきている。
 現在、光ディスクの基板材料に最も多く用いられているのがPC。PCは工業化から40年近く経ち、設備の大型化、低コスト化が進んでおり、物性バランスもよく、透明性に優れ、コストパフォーマンスも高い。また長年のノウハウの蓄積により、成形加工技術も向上している。
 これ以外の候補としては、DCPD(ジシクロペンタジエン)系樹脂や、先ごろダウ・ケミカルが発表したPCHE(polycyclohexylethylene)などがある。これらの樹脂は、音楽用として高音質を要求するものに採用されるなど、PCを上回る高性能が評価されつつある。
 しかし、「(他素材は)PCに比べ、歴史も浅くまだコストも高い。PCはコストだけでなく性能面でも急速に技術が進歩しており、PCと競争できるようになるには時間がかかる」というのがPCメーカーの見方だ。
 光ディスク向けのPCの世界需要は、現在32~33万トン程度と推定されており、2005年には55~65万トンに拡大すると見られ、各社が相次いで新増設計画を進めている。他素材に対するPCのアドバンテージは当分続くと見られるだけに、今後PCメーカー同士の競争の方がさらに激化する可能性が高い。