2010年12月10日
タカラバイオ、ナチュラルキラー細胞の高純度作製技術を開発
【カテゴリー】:新製品/新技術(ファインケミカル)
【関連企業・団体】:タカラバイオ

タカラバイオは9日、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)を高純度(90%以上)に作製する新技術を開発したと発表した。

生体の免疫機構は、大きく自然免疫と獲得免疫の2つに分けられる。NK細胞は、自然免疫を担う重要な細胞の1つで、ウイルス感染や細胞のがん化などによって体内に異常な細胞が発生した際、直ちにそれらを攻撃する初期防御機構としての働きを持つ。

一方、獲得免疫は、T細胞やB細胞と呼ばれる免疫細胞によって担われており、生体が抗原(生体にとっての異物)に感染した後に、それらの抗原を特異的に認識する免疫細胞が体内に現われることで機能する免疫機構。

近年、自己の免疫細胞を体外で増殖・活性化し、再び体内に戻すことで患者の免疫機能を高めるという、がん免疫細胞療法が広まり始めている。

現在行われているがん免疫細胞療法は、獲得免疫を担うT細胞を利用したものが中心で、NK細胞を用いたがん免疫細胞療法は、患者由来の細胞から高純度のNK細胞を作製することが困難だったため普及が進まなかった。

今回、同社が開発した新規NK細胞作製技術には、レトロネクチン拡大培養法で培養したT細胞を利用しており、NK細胞を90%以上という高純度で大量に作製することができる。

同社は、新規NK細胞作製技術で得られたNK細胞が抗体との併用によって高いADCC活性を発揮することを確認した。この結果から、新規NK細胞作製技術と抗体医薬を組み合わせることで、治療効果をより高めることができる可能性が示唆された。今後は、患者の状態に応じた治療法の提供やナイーブT細胞とNK細胞の併用による、より効果的な治療法の開発が可能になるとみている。


ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1291874602.pdf