2010年12月14日
フェノールの需要好調続く 、来春アジア市場でタイト化懸念
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品
【関連企業・団体】:三井化学

合成樹脂や染料など化学品の原料となるフェノール(PH)の需要が好調で、アジア最大メーカーの三井化学によると、2010年のアジア地域の需要は前年比9%増の391万トン、2011年にはさらに5%増の412万トンに達する見通しだ。一方、供給側には、Sinopec(天津、年産22万トン)以外に新増設計画がなく、各社の定修が集中する来年3月〜6月にかけては、タイト状態が強まるとの見方が早くも業界に出はじめている。

フェノールの需要は、主力誘導製品であるポリカーボネート樹脂(PC)がリーマンショック後の低迷から急回復したこともあり、このところ好調に推移している。

とくにアジア需要の伸びは大きく、10年には前年の358万トンから9%増の391万トンに達すると見通し。内訳はPC原料のビスフェノールA(BPA)が223万トン(伸張率13%)、フェノール樹脂130万トン(同5%)、その他38万トン(同6万トン)。また11年には、それぞれ236万トン(伸張率6%)、136万トン(5%)、40万トン(5%)となり、需要計は412万トン(5%)に達すると予想されている。

だが、メーカー各社には供給余裕がほとんどなく、現在すでに手一杯の状態だという。Sinopec天津に22万トンの新設予定はあるものの、需要増加の勢いはこれを上回っており、タイトバランスは続くと予想されている。ことに大手メーカーの定修が集中する11年3月〜6月にはタイト状態が深刻化するとの見方が強いという。

【PHアジア定修スケジュール:2011年1Q〜2Q】
◇三井化学(62万トン) 千葉フェノール(23万トン)4月、大阪工場(20万トン)7月
◇三菱化学(25万トン) 5月後〜6月後
◇信昌化工(TPCC=台湾、34万トン) 2010年12月後〜11年1月中
◇台湾化学繊維(FCFC、40万トン) 3月中〜4月中
◇錦湖化学(韓国、34万トン) 4月後〜5月中
◇LG(韓国、24万トン) 3月後〜4月中

(注)三井化学は、千葉フェノール、大阪工場のほか市原工場に19万トン設備を持っており、合計能力62万トンとなる。海外ではシンガポールに30万トン設備が稼動中。