2001年03月08日
バイエルのシュナイダー社長が講演「アジア市場は重要」
グローバリゼーション展開さらに進展
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:バイエル、日本化学工業協会

 ドイツ化学工業協会(VCI)のマンフレッド・シュナイダー会長(バイエル社長)の来日記念講演会が8日、日本化学工業協会の主催で開催された。講演テーマは『21世紀の化学工業—飛躍への課題』。

 同会長はまず「ドイツの化学工業は良好な世界経済を追い風に、順調に21世紀へのスタートを切った」と前置きして昨年ドイツの化学品生産高は3%上昇し、売上高は製品の値上げにより12%強の伸びを示して1,000億ドルを上回った、と数字をあげて現状を紹介した。

 続いてアジア市場がドイツ化学工業にとっても重要である点に触れ、「昨年は同地域へのドイツからの輸出が化学品輸出の13%近くを占めた」と報告したあと、日本との関係について「日本へのドイツ化学品の輸出は30%近く増加して25億ドルを超えた。日本からの輸入も16%増加の23億ドルに達した」と両国の取引関係が密接であることを強調した。

 また、2001年の展望について「経済そのものは楽観できないが、化学工業の発展は続くだろう」と述べ、その理由として世界経済の成長率が大きいこと、インフレがわずかであること、原油価格の引き下げの可能性があることなどをあげた。
 
 グローバリゼーションの展開については「巨大化学企業は例外なく海外展開で成功している。中小企業も含めてドイツ全化学会社の87%が事業の相当部分を海外で展開している。ドイツ化学工業にとって世界市場がいかに重要かを示すものだ」と述べた。その中で1998年の海外直接投資額380億ドルのうち40億ドルはアジアで投下されたと紹介。

 続いて21世紀に向けた戦略として「技術革新の中心はバイオ、ナノテクノロジー、水素、再利用可能な原材料、CO2や水からの高分子材料の生産技術の開発になる」との考えを示した。

 このあと、環境問題への取り組みに触れ、「必要なのは問題のある物質の禁止ではなく、不適切な使用を防止することだ」「多くの国で生産量は増えているが、廃棄物は大幅に減っている」と述べたあと「日本の化学工業はレスポンシブル・ケア活動なども進み、この分野での世界への貢献は大きい」と語った。 多くの示唆に富んだ講演に会場からは大きな拍手がわいた。