2010年12月27日
NEDO、高性能磁石向けレアアースDyの使用量4割削減に成功
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:NEDO

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は27日、NEDOの「希少金属代替材料開発プロジェクト」の一環として、レアアース(希土類)の一種で高性能磁石の製造に必要なジスプロシウム(Dy)の使用量を低減させる技術開発に取り組んでいるインターメリックス(佐川眞人代表取締役)と東北大学の杉本論教授らは、ネオジウム(Nd)焼結磁石の結晶サイズを小さくすることで保磁力(磁場の強さ)を向上させ、Dyの使用量を約40%削減することに成功したと発表した。

ネオジウム磁石は、ハイブリッドカーのモータやエアコンモータのどの高性能化に欠かせない最も強い永久磁石材料であるが、耐熱性を向上させるためにDYを添加されている。

しかし、ネオジウム等の軽希土類は世界に2000万トン存在(中国が3分の1を占める)し、安定した資源確保に取り組まれている。一方、重希土類の一つであるDyは、中国のイオン吸着鉱にほぼ100%依存しており、他の地域から安定した品質の資源確保が容易でない状況にある。

インターメタリックスでは、ネオジウム磁石の結晶粒を微細化することで、DYを使わずに耐熱性を向上させる技術開発を行ってきた。

ネオジウム磁石は通常、窒素ガスを用いたジェットミル(高速のガス流で粉末粒子を粉砕する装置)で平均5μm程度の粒径の合金粉末を作製して成形し、真空中で焼き固めて作る。

今回、窒素ガスに比べて約3倍の粉砕力を持つ、ヘリウムガスを用いたジェットミルを導入することで、平均粒径1.1μmまで合金粉末の微細化に成功した。

その結果、焼結磁石における結晶粒径の微細化に成功し、Dyを使わずに保磁力が20KOe(キロエルステッド)、最大エネルギー積が48MGOe(メガガウスエルステッド)を達成した。

これにより、従来必要であったDyの量を40%程度削減できるものと見込まれている。

今後は、プロジェクトの目標である保磁力20KOeも実現を目指すとともに、量産化に向けた検討を進めていく方針である。