2011年01月01日
<年頭所感>経産省・坂口化学課長「わが国経済の牽引役を期待」
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:経済産業省
坂口利彦化学課長

経産省化学課長の坂口利彦氏は2011年の「年頭所感」で、原料用ナフサの免税措置について「今年度は恒久化や本則化が実現しなかったが、来年度の税制改正要望ではしっかり取り組みたい」と強調した。

また、化学産業が自動車、半導体をはじめとする先端産業への素材供給や、太陽電池、蓄電池、LEDなど環境問題の解決にもつながる製品の開発を通じて、今後わが国の経済や雇用を牽引していくよう“期待”を示した。


【年頭所感】経済産業省 化学課長 坂口 利彦

2011年の新春を迎え、謹んで新年のお慶びを申し上げますとともに、年頭にあたりご挨拶申し上げます。

我が国経済は、2009年の世界的な景気減速から着実に持ち直してきているものの、なお自律性は弱く、円高や資源の高騰など依然完全な回復には至らない厳しい状況にあります。

こうした危機に対処するため、政府としては、昨年「新成長戦略」を策定いたしました。新成長戦略の策定には、化学産業に取りまとめに御尽力いただいた、「化学ビジョン研究会」の成果も反映されており、グリーン・イノベーション、ライフ・イノベーション等の成長分野に重点的な取組を行うこととしております。
また、この戦略に基づき、1000億円を投入している低炭素型雇用創出産業立地推進事業費補助金を始めとした、予備費と補正予算合わせて総枠6兆円規模の財政支出により、景気の下支えに万全を期して対策を進めております。

経済産業省としても、我が国の国際競争力を高めるため、来年度の税制改正において法人税率の5%の引下げを要望し、無事に税制改正大綱に盛り込まれました。
ナフサ等の原料用途免税の本則非課税恒久化に関しましては、民主党の「ナフサ・オフガス・原料炭については世界的に課税している例はなく、世界標準に照らした対応を求める」との提言を受けて、経済産業省としても全力で取り組みましたが、今年度は実現いたしませんでした。税制改正大綱においては、「原料用石油製品等に係る免税・還付措置の恒久化や本則化について、平成24年度改正において引き続き検討」することとなり、来年度の税制改正要望に向けて、原料用途免税の本則化にしっかり取り組みたいと考えております。

また、昨年は地球環境問題の対策として、地球温暖化対策のための税、再生可能エネルギーの全量固定価格買取制度、国内排出量取引制度という主要3施策の検討が進んだ年でもありました。本年も、地球温暖化問題への対応に当たっては、産業の国際競争力強化や国内立地促進による雇用の維持拡大にも配慮し、環境と経済の両立を前提として、引き続き努力してまいります。

化学産業は自動車、半導体をはじめとする先端産業への素材を供給するなど、我が国産業競争力の根源であるとともに、太陽電池、蓄電池、LEDなど地球に優しくエネルギー環境問題の解決の可能性を秘めた、我が国の経済成長の鍵を握る産業です。また、90万人の雇用を支える裾野の広い産業でもありますので、国内の産業空洞化を回避すべく、今後とも我が国経済や雇用を牽引していただくことを期待しております。

本年2011年はキュリー夫人がノーベル賞を受賞して100年目にあたり、国連総会にて「世界化学年」とされた記念すべき年です。また昨年は、日本人お2人のノーベル化学賞受賞など、世界を支える高度な人材も輩出されております。こういったよい流れに乗り、新たなイノベーションの創出、国際競争力の強化などの重要な共通課題について、産業界をはじめ皆様とのご協力の上で取り組んで参りたいと考えております。
 
最後になりましたが、本年が皆様にとりまして、一層の御発展、御活躍の年になることを祈念いたしまして、私の年頭の挨拶とさせていただきます。