2011年01月01日 | |
石化協・高橋会長「APIC・日本大会 成功に全力」 | |
【カテゴリー】:行政/団体 【関連企業・団体】:昭和電工 |
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石油化学工業協会の高橋恭平会長(昭和電工社長)は2011年の年頭に当たり、今年の重要課題として(1)税制改正要望と地球温暖化対策への取り組み(2)アジア石油化学工業会議(APIC)への取り組み(3)安全対策への取り組み、の3項を挙げ、精力的に対応していきたいと強調した。 このうち地球温暖化対策では今年月10月から環境税が導入される。石化協では引き続き他団体とも連携をとりながら対応することにしている。「APIC」は今年5月、日本(福岡市)での開催となる。 【年頭のご挨拶】石油化学工業協会 会長・高橋恭平 2011年の新春を迎え、謹んで新年のお喜びを申し上げますとともに、年頭にあたりご挨拶申し上げます。 振り返りますと、昨年の日本経済は、急速な円高の進行等による厳しい経済情勢の中、政府による為替介入が行われ、また、11月末には新成長戦略実現に向けた円高・デフレ対応のための緊急総合経済対策に係る補正予算が組まれる等、政府の積極的な対応が図られました。しかしながら、このような対応により円高の急速な進行が一服する等相応の効果があったものの、自動車・家電等についての政策的支援制度の終了や外需の陰り等により、日本経済は依然として厳しい状況にあるものと考えております。 一方、私ども石油化学業界を振り返ってみますと、税制改正における原料ナフサの課税・非課税の議論を抜きにしては語ることのできない1年であったと言えます。 ナフサに係る石油石炭税については、平成23年度税制改正要望において、原料非課税の原則に則り租特法による免税ではなく本則による非課税恒久化を要望致しました。しかしながら、逆に政府税制調査会では課税の方向で議論が展開され、石油化学業界として極めて憂慮すべき状況となりました。 その後、様々な議論を経た結果、原料ナフサの本則による非課税恒久化こそ実現できませんでしたが、原料ナフサへの課税という危機的状況は乗り越えることができました。 これは、11月19日に、多くの賛同団体とともにナフサ非課税を訴える総決起大会を開催する等、私ども業界の様々な取り組みもさることながら、経済産業省を始めとする皆様方の多大なるご協力と、これに理解を示して頂いた与党の国会議員の方々のご支援の賜物であったものと非常に感謝致しております。 さて、当協会では、広汎に亘る様々な活動に取り組んでおりますが、特に本年の取り組みについて、以下項目を絞って述べたいと思います。 一点目は、税制改正要望と地球温暖化対策への取り組みです。 石油化学製品の需要は、世界的にみると中国をはじめとして大きく伸長しており、中東や中国での大型新鋭設備の稼働も続いております。一方、国内においては、昨年の政策措置に基づく自動車産業の活況等により、一時の低迷期に比べれば持ち直したとはいえ相変わらず国内需要は低迷しております。このため、石油化学製品においても結果的に輸出比率が高まっており、たださえ原料調達価格の安い中東等との厳しい国際競争に晒されているわが国石油化学産業の今後は予断を許しません。このような厳しい状況の中、各社は国際化に加え原料の多様化、無駄のない徹底した省資源化、エネルギー高効率設備の導入等に取り組んでいるところであり、協会としてもこうした会員会社の活動の環境整備となる税制・規制改革等に引き続き取り組んで参る所存です。 また、地球温暖化対策につきましては、産業界にとって非常に大きな問題であり、本年10月から導入されることとなっている環境税も踏まえつつ、当協会として引き続き他団体とも連携を図りながら適切に対応して参りたいと考えております。 二点目は、アジア石油化学工業会議(APIC)への取り組みです。 APICは、アジアの石油化学工業の健全な発展を目的として毎年開催されているもので、一昨年のソウル開催に続き、昨年は初めてムンバイで多くの参加者を得て成功裡に開催されました。 こうした中、本年5月には、APIC2011が当協会の主催により福岡で開催されます。当協会は、APICの創設メンバーとしてアジアを始め海外の石油化学関係団体との連携を深め、情報交換を図ってまいりましたが、APIC2011は、アジアから見た日本を知る絶好の機会でもあり、また、わが国石油化学産業をアピールする場でもあると考えており、その成功に向けて精力的に取り組んで参る所存です。 三点目は、安全対策への取り組みです。 石油化学産業にとって、「保安・安全の確保」は、最も重要な要件の一つであることは言うまでもありません。保安・安全の確保は地道な活動の積み重ねであり、技術力を向上させ一歩一歩確実に実施していくことが必要です。当協会においては、より高い保安・安全の水準を目指し、保安推進会議、事故事例巡回セミナー、保安研究会等を通じて運転技術や保安管理技術、設備管理技術等の向上を図ってきております。また一昨年制定された保安功労者を表彰する保安表彰制度も3年目を迎えることとなります。本年もさらに気を緩めることなく安全文化の醸成のため学習伝承や動機付けに焦点を絞った保安確保のための取り組みを推進して参る所存です。 以上、当協会は、厳しい経済情勢の中、豊かで暮らしやすい社会の実現に向けて日々努力を続けている会員会社の環境整備のための取り組みは勿論のこと、石油化学産業が広く社会に果たす役割と重要性を踏まえ、保安対策、税制改正要望、温暖化対策、広報活動等広汎に亘り積極的に活動して参りたいと存じます。今後とも当協会への一層のご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げます。 最後に、日本経済の早期の回復を願うとともに、皆様方の益々のご発展とご健勝を祈念し、新年のご挨拶と致します。 |