2001年03月08日
液晶ポリマー、各社今後の事業拡大は原料調達が鍵
自製化や他原料採用など模索
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品
【関連企業・団体】:住友化学

 LCP(液晶ポリマー)は最近、携帯電話やパソコンなど、いわゆるIT関連需要の拡大にともない、年率25~40%の高成長が続いているが、一方でメーカー各社は今後の事業拡大には原料の調達が重要として、様々な検討を進めている。
 LCPは便宜上、耐熱性(荷重たわみ温度)により、I型(260~280度)、III型(220度)、タイプII型(IとIIIの中間)の3つに分類されているが、現在需要が拡大しているのはI型とII型の中間領域で、より耐熱性の高いI型方向へシフトしつつある。主な需要は電子部品で、中でもSMT(表面実装)対応、鉛フリーはんだ対応など、耐熱性を要求される部品に多く用いられている。
 需要が好調なことから、各社とも設備はフル稼働となっており、それぞれがさらなる事業拡大のため新増設を計画しているが、ここで大きな問題となるのが原料の調達だ。LCPは、ビフェノールとPOBなどが主原料だが、これらの原料を生産するメーカーは少なく、ほぼ独占状態となっているのが現状。このためどのLCPメーカーも原料調達先はほぼ同じとなっている。
 LCP市場は今後競争がさらに激化すると見られ、各社とも新たな原料ソースの確保を検討している。I型のトップメーカーである住友化学工業は、自社でビフェノールを生産する方針を打ち出している。また、他のメーカーでは、ビフェノール以外の原料への切り替えを検討し始めているほか、中国などから精製度の低い原料を調達し、自社で精製することなどを考えているメーカーもある。LCPの市場はまだまだ規模が小さいものの、今後も高成長が期待されるだけに、「原料を制したものが勝ち残る」状況にある。