2011年01月14日
クラレ、欧州でポバール樹脂設備を大幅増強
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:クラレ
KEG のポバール生産設備外観

クラレは14日、欧州市場でのポバール樹脂需要の増大に対応するため、欧州現地法人、クラレヨーロッパ(KEG=本社:ドイツ・フランクフルト)の同樹脂生産設備増強を決めたと発表した。

現有年産70,000トン設備を24,000トン増やて、同94,000トンに大幅拡大する。投資額は5800万ユーロ(約70億円)で、2013年春完成の予定。

現地法人のKEGは、2001年、クラリアント社からポバールおよび関連事業を買収して設立。工場はヘキストグループの石油化学コンビナート内(フランクフルト)にあり、原料酢ビは現地購入する。

ポバール樹脂は、1950年に同社がビニロン繊維の原料として世界で初めて工業化した樹脂で、水溶性などの特性を生かして紙加工剤、接着剤、繊維糊剤などに使われている。最近は液晶ディスプレイ用偏光フィルム分野に需要が高い伸びを見せている。

またポバールを原料とするPVB(ポリビニルブチラール)樹脂フィルムは、自動車の安全ガラス用中間膜や太陽光発電パネルの封止材向けに用途を広げている。

同社は現在、日本、アジア、欧州に計年産234,000トンの生産拠点を持つ世界最大手メーカー。引き続きグローバル展開を加速し、好調な需要を取り込んでいきたいとしている。

【KEG の会社概要】
・社名   : Kuraray Europe GmbH
・資本金  : 31 百万ユーロ(クラレ 100%出資)
・社長   : Dr. Matthias Gutweiler(マティアス・グトヴァイラー)
・本社   : ドイツ・フランクフルト
・事業内容 : ポバール樹脂、PVB(ポリビニルブチラール)樹脂およびフィルムの生産販売、繊維製品、化成品などの輸入販売。
・従業員 : 約600名

<クラレグループの地域別 ポバール樹脂 生産能力(年産)>
◇クラレ 岡山事業所・新潟事業所 : 124,000 トン
◇クラレアジアパシフィック(シンガポール): 40,000 トン
◇KEG(ドイツ): 70,000 トン
(合計 234,000トン)


ニュースリリース参照
○欧州におけるポバール樹脂生産設備の増設について
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1294980481.pdf

○Kuraray to Expand PVA Resin Production Facility in Europe
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file2_1295250361.doc