2011年01月26日
セラニーズ、中国でのエタノール計画で覚書締結
【カテゴリー】:海外
【関連企業・団体】:なし

(上海発=特約)
セラニーズは1月19日、工業用エタノール工場を南京の南京産業パークと珠海の高蘭港経済区に建設する覚書を締結した。
30か月以内に各40万トンの工業用エタノールの生産を開始する。投資額はそれぞれ約3億ドル。

この計画では、セラニーズの最新技術を使用する。セラニーズの酢酸開発を通じて開発した先端技術と石炭などの炭化水素からエタノールを生産する製造技術を結びつける。

更に、セラニーズは1月21日に、中国の合成ガスメーカーで、同社の南京コンプレックスで酢酸生産用の一酸化炭素とメタノール(いずれも石炭から生産)を供給している惠生(Wison)との間で、エタノール製造用の原料供給(石炭ガス化)の覚書を締結した。

胡錦濤主席の訪米に合わせ、発表した。
セラニーズと恵生との覚書は胡錦濤主席の訪米を機にホワイトハウスが1月19日に発表したFACT SHEET: U.S.-China Commercial Relationsにも記載されている。

セラニーズは昨年の11月に、同社の最新技術を使用して、中国で石炭からエタノールを製造する2つの工場を建設すると発表した。
同社では、Coal-to-Ethanol は既存のコーンなどの醗酵法に比較し、低コストであるとしている。
既報 http://www.chem-t.com/cgi-bin/passFile/NCODE/30207

セラニーズによれば、この技術は工業用エタノールも燃料グレードのエタノールも製造できるが、主な狙いは工業用である。
中国は工業用に年間約300万トンのエタノールを消費しており、市場は8〜10%で伸びており、今後5年で更に150万トンが必要となる。
同社は米国で天然ガスベースの年産4万トンのエタノールを2012年後半にスタートさせる計画を合わせて発表している。

ASIACHEMの調査では、セラニーズのエタノール技術には、酢酸からエタノールを製造するものと、シンガスから直接エタノールを製造するものとがあり、今回は後者の可能性が強い。

(セラニーズはこれまでに酢酸からエタノール製造の特許を米国で申請している。ASIACHEMの推定では1.3トンの酢酸から1トンのエタノールができる。中国の酢酸の価格は3000元以下だが、工業用エタノールは約7000元となっている。)

セラニーズは今回、南京と珠海を立地に選んだが、これは次の2つの理由による。

まず、セラニーズは両市で長年にわたる工場操業の実績がある。

南京では南京産業パークにコンプレックスを持ち、恵生からの原料をもとに、自社のAOプラス法で年産120万トンの酢酸を製造している。加えて、無水酢酸、VAM、エマルジョン、GUR(超高密度高分子量ポリエチレン)を製造している。

珠海では1993年に中国国家煙草公司とのJV(セラニーズ30%出資)を設立し、年産35千トンのセルロース・アセテート・トウを製造している。

第二に、2010年の国務院の外国投資推進意見書では3億ドルまでの投資は地方当局の承認でよいこととなっており、これまでの両市の当局との良好な関係から、迅速な承認が期待できる。