2011年02月07日 |
JST、DNA分子モーターのリアルタイム観察に世界で初めて成功 |
【カテゴリー】:行政/団体 【関連企業・団体】:文部科学省 |
科学技術振興機構(JST)は7日、杉山弘・京都大学教授らの研究グループが、平面構成上に作成した約100ナノメートル(1nmは10億分の1m)の長さのレール上でDNA(デオキシリボ核酸)分子機械を移動させ、その動きを実時間で直接捉えることに成功したと発表した。 これは、分子レベルの運動の人為的なコントロールや、狙った所への分子の運搬に役立つ技術となるもので、分子ロボットの開発につながるものと期待される。 この研究は、JST戦略的創造研究推進事業チーム型研究(CREST)の研究課題「生体分子情報—構造—機能統合ナノシステムの構築」の一環として行われた。 具体的には、分子であるDNAを使って1辺100nm程度の長方形平面構造体にDNAからなる約100nmの長さのレールを作成し、そのレールに沿ってDNA分子機械を移動させることに成功した。また、その分子機械の動きを、高速原子間力顕微鏡(AFM)を使って数ナノメートルの解像度で直接観察することにも世界で初めて成功した。 ナノメートルスケールの世界で分子の連続的な移動を精密にコントロールする技術はいまだ開発段階にある。今回、分子を平面状のナノスケールの構造体上で正確に移動させることに成功したわけで、この方法によって人工的に分子を組み上げていくことで目的に合わせたナノ・メゾ(数nmから数百nmの領域)空間で働く分子ロボットの開発につながると期待されている。 この成果は、7日(英国時間6日)に英国科学雑誌「ネイチャー・テクノロジー」オンライン版で公開される。 |