2001年03月06日
「特恵関税制度」の大幅改正4月からスタート
「31項」シーリング枠は169億3,000万円で今年度と同レベルに
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:財務省

 財務省の10年ぶりの特恵関税制度見直しにより、来年度から運用や管理方式が大幅に変わる。同省では「とくに後発途上国向けに手厚くなるよう制度の拡充を図った」といっている。
 化学業界ではなじみの深いプラスチック類(項名31)でみると、まず毎年6%ずつ増加(6%条項)していたシーリング枠算定方式が「3%」に変更され、管理方式も従来の日別から「月別管理」方式に改められる。また、特定国枠が全体枠の4分の1から「5分の1」に縮減される。さらに特恵税率は無税(0%)だったが、新たに一般税率の20%が課せられる、などとなる。
 これらのうち最も影響が出そうなのは、管理方式の日別から月別への移行だ。これまではシーリング枠を超えると、翌日には特恵停止の手続きがとられ2日後に停止となっていたが、月内は枠を超えてもそのままフリーとなる。停止手続きに約半月(10営業日)かかると財務省ではいっているので、実際には翌月の中旬まで輸入が続けられることになる。
 平成13年度(2001年度)の「31項」のシーリング枠を新しい算定方式(11年度実績を基準にプラス3%)で計算すると、169億3,000万円となる。4月の新年度から何カ月でこれが埋まるかに業界の関心が高いが、過去の実績と比較すると、10年度(1998年度)は150億6,800万円の枠が同年11月、11年度(1999年度)は159億7,200万円の枠が同年9月に埋まり、停止。11年度は手続き期間中に枠を2.8%超えて結局164億2,000万円入った。
 12年度(2000年度)は枠が169億3,000万円に増大したが対日輸出に積極的だった韓国、台湾、シンガポールなどが特恵対象国から除外されたこともあり、今年2月末現在輸入額は121億5,000万円でまだ枠に到達していない。「来年度のシーリング枠が今年度とほぼ同額というのは偶然にしても、今年の例でみる限り改正による影響は大きくはなさそうだ」との点で業界の見方はほぼ一致しているといえそうだ。