2011年02月23日
新日鐵化学、薄型・軽量な樹脂基板の「色素増感太陽電池」開発
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:新日鐵化学
「色素増感太陽電池」

新日鐵化学は23日、透明導電膜(TCO:Transparent Conductive Oxide)を用いない、独自構造のフレキシブルな樹脂基板の「色素増感太陽電池」を開発したと発表した。近くサンプル出荷を開始、2年後の本格生産を目指す。

樹脂基板の太陽電池はこれまで、耐熱温度の問題から、技術的に困難とされてきたが、独自技術で解決し、薄型、軽量、フレキシブルといった色素増感太陽電池の特長を最大限に活かす性能を実現した。

TCO を用いないため、電気抵抗を下げるための集電配線が不要となり、複数の発電色素と組み合わせることでカラフルな絵画様の設計も可能となった。

■太陽電池の特長
(1)透明導電膜(TCO)を用いない樹脂基板による色素増感太陽電池のため、薄型、軽量でフレキシブルな性能を実現した。
(2)集電配線が不要となるため、カラフルな絵画様の設計を可能にした。

■開発の背景
現在、太陽電池の主流であるシリコン太陽電池に対して、薄い、軽い、フレキシブル、カラフルといった特長を最大限に活かそうと樹脂基板を用いることに着目し開発してきた。だが、TCO 構造で樹脂基板を用いる従来法では、半導体焼結プロセスにおける耐熱温度や集電配線に問題があった。そこで、TCO を用いない独自の構造開発に取り組み、今回の開発となった。

同社は同製品を3月2〜4日の3日間、東京ビックサイトで開催される「PV−EXPO 2011」に出展する。複数の当社開発色素を用いた絵画様の太陽電池をはじめ、樹脂基板のフレキシブル太陽電池、LIB(リチウムイオン二次電池)と表裏一体型にした薄型太陽電池を展示する。

【用語の解説】
・透明導電膜(TCO)とは :透明かつ電気を通す膜のこと。金属は電気をよく通すが光を通すことができないため、また、樹脂材料は半導体層を透明基板に焼結させる過程での耐熱温度の問題から、ほとんどがガラスの上に成膜される。


ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1298428730.pdf