2000年10月27日 |
コルボーン博士が内分泌かく乱化学物質問題で講演 |
問題の重要性を皆が十分認識する必要ありと強調 |
【カテゴリー】:環境/安全 【関連企業・団体】:旭硝子 |
旭硝子財団による「ブループラネット賞」の今年度における受賞者の一人であるティオ・コルボーン博士(米・WWF科学顧問)は27日、同財団が開催した「受賞者記念講演会」でもう一人の受賞者のカールヘンリク・ロベール博士(スウェーデン・ヨーテボリ大学教授)とともに地球環境問題について講演した。 同博士は「インナースペース(体内小宇宙)の研究:未来の世代を守るために」をテーマに、これまでの調査活動で得た内分泌かく乱化学物質の作用に関する豊富な知見を詳しく紹介するとともに、人類が取るべき行動についての自らの見解もはっきり示し、多くの聴講者の盛んな拍手を浴びた。 同博士は先ず始めに、同問題を考える場合にしっかり認識すべき事柄として「化学物質の中には胎児の発育や将来の方向づけに大きな影響を及ぼすものが存在していること」「人は皆、あらゆる場所で複数の人工化学物質にさらされていて、避けることができないこと」「北極から南極にいたるまでの全ての地域の野生生物の組織には、内分泌系、免疫系、生殖器系を阻害する恐れのある化学物質が含まれていること」--などを挙げ、続いて、5大湖の魚類などの生物に現れた異常現象とそれが人に及ぼしたと思われる様々な影響--等をスライドを使いながら詳しく紹介した。この中では、PCBやダイオキシン類の影響と見られる人や野生生物における発育不全や奇形等について特に丁寧に説明した。 そして、“いま何より大切なことはダイオキシン類や残留性有機化学物質(POPs)を減らすための予防策を早急に講じること”と強調するとともに、“しかしながら現在はそうした化学物質を選別し試験するための標準化された規格書がなく、このため現在使われている製品が安全かどうかを保証する術が政府にも企業にもない点が悩み”と現在における重要な問題の一つを指摘、その上で“それだけに、産業界が率先して資金を提供し、各国政府の国際協力で早急に選別方法や評価方法を確立する必要がある”と述べ、さらに“日本は12月に締結が予定されているPOPsに関する国際条約の交渉で重要な役割を果たして欲しい”とも注文して講演を終えた。 |