2011年03月01日 |
JST、フラスコで簡単に合成できるナノチューブ 世界初成功 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:文部科学省 |
科学技術振興機構(JST)は28日、京都大学の北川宏教授らの研究グループが、選択的な分子の取り込みが可能な半導体ナノチューブをフラスコで簡単に合成し作製することに世界で初めて成功したと発表した。 カーボンナノチューブは、導電性や高い耐久性から電子デバイス材料への応用が進められている一方、内部にナノメートル(1ナノは10億分の1)サイズの細孔を持つことから吸着剤としての応用も期待されるが、1000℃以上の高温を必要する作製法が原因で、サイズや形状を制御することが困難であった。 しかし今回、金属イオンや有機分子からなる金属錯体をパーツとして組み上げるボトムアップ法に着目し、対角方向の直径が1.5nmで形状が完全に揃ったナノチューブを室温下で合成することに世界で初めて成功した。 このナノチューブは、内部に細孔を持っており、水やアルコールといった蒸気を選択的に取り込む機能をもつことがわかった。さらに、この物質は半導体的な性質を示し、構成要素を組み替えることによって電子的性質を幅広くコントロールできることもわかった。これは、多孔性材料を用いた新しいセンサー材料や電子デバイスとしての応用につながることが期待される。 この研究は、JST戦略的創造研究推進事業の一環として実施した。研究成果は、27日(英国時間)に英国科学雑誌「ネイチャーマテリアルズ」速報版に公開された。 |