2011年03月15日
大阪大など、住化の高分子有機EL発光に十分なトランジスタ開発
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:住友化学、産業技術総合研究所

科学技術振興機構(JST)は14日、大阪大学の竹谷純一教授や広島大学の瀧宮和男教授らの研究グループが、住友化学がすでに開発した高分子有機ELを発光させるのに十分な電流を供給できる高分子有機トランジスタ(高分子有機TFT)を開発したと発表した。

これは、住友化学、産業技術総合研究所と共同で実施するJST産学イノベーション加速事業の一環として開発した。これにより、低コストかつ大型で高速動作に対応するオール高分子有機ディスプレイに道を開くことができた。

高分子有機ELを発光するためには50μm(1マイクロは百万分の1メートル)角のピクセル当たり数μAの電流が必要だが、これまでは、この大きさの有機TFTでこの電流量を制御することが困難だった。今回、広島大学が新しい高分子半導体化合物ポリナフトジチオフェンビチオフェニルを合成し、大阪大学がその高分子化合物を塗布した三次元トランジスタ(3D-TFT)を開発したことによって、高分子有機ELを高速動作するのに十分な性能のTFが得られた。

オール高分子で、低コスト大面積の高分子ELディスプレイを実用化するためには、信頼性および歩留りの向上、on電流とoff電流の比を向上させる必要があるため、それを今後の開発目標とする。

さらに、住友化学で開発された高分子有機ELと組み合わせることによって、次世代の有機エレクトロニクス産業のキーデバイスとして、オール高分子ELディスプレイの実用化に向けた開発研究を行う方針である。