2011年03月17日
日本医科大、抗うつ薬による脳の神経伝達の変化と密接な関係を発見
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:科学技術振興機構

科学技術振興機構(JST)は16日、JST課題解決型基礎研究の一環として小林克典・日本医科大学講師らの研究グループが、抗うつ薬の一種を長期間投与することによってマウスの行動が不安定化し、その変化が脳の神経伝達の変化と密接に関係していることを発見したと発表した。この研究成果は、抗うつ薬による躁転や気分不安定化の神経基盤の解明に寄与すると期待される。

抗うつ薬として用いられる選択的セロトニン再取込阻害剤SSRIは、うつ病に加えて不安障害の治療などにも広く使用されている。その一方で、重篤な副作用の報告もあり、作用メカニズムにも不明な点が多く残されていた。今回の研究では、SSRIを継続的に投与すると、マウスの行動が低活動状態から活発化状態へ急激に変化するなど、行動の不安定化が生じることを発見した。

これは、健康なマウスにSSRIを比較的高用量で投与しため、異常行動が顕著に見られたといえる。今後は疾患モデルマウスを用いて、SSRIがどのような神経病態に対して改善効果を持ち、どのような条件で副作用を引き起こすかを明らかにすることによって、より安全かつ効果的なうつ病治療法の開発に結び付くのかを解明する。