2011年04月08日
東レフィルム、世界最高レベルの透明導電フィルム開発
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:東レ
透明導電フィルムの比較写真

東レフィルム加工(本社:東京都中央区、山口進社長)は8日、全光線透過率が90%以上で、導電性能に優れたウェットコーティング法で世界最高レベルの透明導電フィルムを開発、量産化にめどをつけたと発表した。

福島工場(福島県岩瀬郡鏡石町)での生産を計画。2015年度20億〜30億円の売上を目指す。

透明導電フィルムは、蒸着法やスパッタ法によるITOフィルム(酸化インジウムスズ)が一般的だが、薄膜の無機物のため曲げに弱く、フレキシブル化の障害になっていた。また主材料のインジウムが稀少金属のため、資源問題もあった。

一方、有機系導電剤のウェットコーティングフィルムは、フレキシブル性に優れるものの、導電性を向上させる場合には固有の着色性や耐湿熱性に課題が残されていた。

特にタッチパネルやディスプレイに応用する場合、光学特性を損なわずに耐久性を保ち、パターン加工など周辺技術との整合性が必要とされてきた。

東レフィルム加工はこのほど、米国のベンチャー企業、Cambrios Technologies Corp.(本社:カリフォルニア州)と戦略的パートナーシップ契約を締結し、同社の高透明・高導電性の「銀ナノワイヤーインク技術」に、東レフィルムの加工技術を組み合わせて、これらの課題を解決する新製品を開発した。

今回開発した「銀ナノワイヤーインクを用いた透明導電フィルム」の技術上のポイントは、
(1)ナノレベルのコーティング厚み制御技術
(2)ウェット法による多層積層技術
(3)各ユーザーの加工プロセスにマッチした製品設計提案
の3点にあり、従来の蒸着法やスパッタ法ITOフィルムに比べて、特に量産面で有利としている。

また、透明導電性のほかフレキシブル性、インビジブルパターン性に優れているため、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末などに搭載されるタッチパネルへの適用が期待できるという。将来は、3次元形状のタッチパネルや太陽電池、有機ELの電極などへの応用を視野に本格展開していく方針である。

同社は、同製品を4月13日〜15日に東京ビッグサイトで開催される「第2回高機能フィルム技術展」に出展する。

ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1302250447.pdf