2011年04月11日
富士フイルムと国立がん研、腫瘍の酸素飽和度を画像化
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:富士フイルム

富士フイルムは11日、国立がん研究センター(嘉山孝正理事長)と共同で、体内組織の酸素飽和度画像化に関する臨床研究を開始したと発表した。

レーザー光源を搭載した内視鏡システムを使い、腫瘍とその周辺の酸素飽和度を画像化、腫瘍の基礎的データを取得・解析する。

通常、腫瘍部分は、血管からの酸素供給が不十分となり、酸素飽和度の低い低酸素状態になるといわれている。また、腫瘍の種類や性状などにより低酸素レベルが異なるとされている。

このため低酸素状態を正確に把握することは、従来困難とされていた腫瘍組織の変化や、良性・悪性の判断、早期発見につながる。また画像化により、腫瘍に適した治療方法や、腫瘍発生のメカニズムに関する情報も得られやすくなる。

同社は今回、これまでに開発してきたレーザー制御技術と画像処理技術を組み合わせて、組織の酸素飽和度画像化技術を確立した。

国立がん研究センター臨床腫瘍病理部の落合淳志部長や、消化管腫瘍科の金子和弘副科長らのグループがこれまでに行った動物実験では、腫瘍の成長に伴い、腫瘍部分が低酸素状態へ変化する状態が鮮明に描出されている。

また、同技術を搭載した内視鏡システムにより、生きた動物の体内組織における酸素飽和度の画像化に世界で初めて成功した。今後はさらに酸素飽和度の画像化を利用した新たな画像診断技術の確立に取り組む。

<用語の解説>
■酸素飽和度 :赤血球のヘモグロビンのうち、酸素と結合しているヘモグロビンの割合をいう。

ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1302492665.pdf