2001年02月28日
旭美化成、早ければ2003年末にもPCを10万トンに倍増
第1期5万トンは主要機器の設置を完了~来年初稼働
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品
【関連企業・団体】:旭化成

 旭化成と台湾・奇美実業のPC(ポリカーボネート)合弁会社である旭美化成は現在、台南県にある奇美実業の工場敷地内で第1期年産5万トン設備の建設を進めているが、すでに主要機器の設置を完了、8月完成、来年初めの商業運転入りを目指している。第1期設備の正常運転を確認後直ちに第2期5万トン設備の建設に着手することにしており、早ければ2003年末にも10万トン体制を構築する考え。
 旭美化成には旭化成49%/奇美実業51%出資により設立、旭化成が開発したメルト法を採用し、第1期年産5万トン設備の建設を進めている。当初は昨年2月の着工を予定していたが、その頃台湾の総選挙があったことなどから2カ月前後遅れたものの、その後の工事自体は順調で、すでに蒸留塔など主要機器の設置を済ませており、8月には完成する。ただし、旭化成技術による初の商業化プラントであるため、時間をかけて試運転を行う方針で、本格稼働は来年初めとなる見通し。なお、生産グレード数はディスク、PC/ABSアロイ、汎用などを合わせ10グレード弱を予定している。
 一方、販売面については、主力となるディスクグレードのプレマーケティングを先行して進めており、メイン市場となる台湾のCMCやライテックなど大手ディスクメーカーを中心に水島のパイロットプラントで生産したサンプル品を供給してきたが、現在のところ高い評価を得ているという。販売は先ごろ決定した「ワンダーライト」のブランド名で旭美化成が行うが、旭化成と奇美実業それぞれのルートで供給する。メイン市場がディスクの供給基地となっている台湾であることから、奇美実業ルートの販売が多くなる見込みだ。また、ディスクに次ぐ主力製品となるPC/ABSアロイは「ワンダーロイ」のブランドで販売する。現在はパイロットプラントに余力がないため、ややプレマーケティングが遅れているが、今夏以降本格的に取り組んでいく考え。
 さらに旭美化成は、第1期設備の正常運転を確認後、早期に第2期5万トン設備の建設に着手する考えで、早ければ2003年末には生産能力を10万トンに倍増する。ただし、第1期設備に必要な原料BPA(ビスフェノールA)については、台湾の信昌化工や欧米系、日系メーカーなどからの調達が確定しているものの、第2期分については今後調達先を検討していく考え。