2011年04月18日
化学工学会、今夏の電力不足対策で「緊急提言」
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:化学工学会

化学工学会は18日、東京都新宿区の早稲田大学国際会議場井深ホールでシンポジウム「東日本大震災に伴う電力不足対策に関する緊急提言/計画停電を最小限に食い止めるために」を開催した。約400人が参加した。

シンポジウムでは、今年夏の電力需要が相当の節電協力があっても5500万kwと予想され、1000万kwに迫る夏のピーク時の電力不足を埋めるメドが立っていないことを指摘。

そこで化学工学会は、電力供給の増強と電力需要の削減の見通しを独自に概算・分析するとともに、対応につて提言を行った。

まず、電力供給の増強については、太陽光発電、蓄電技術、風力・エネファーム・その他分散電源、防災用自家発電装置について、今夏までに増強可能な電力量を予測し、「全体で電力供給力を365−390万kW増加させることが可能」とした。

一方、電力需要の削減については「機器による電力需要の削減によって170-220万kw程度、ライフスタイルの変化によって87-110万kw程度、合わせて257-330万kw程度のピーク電力需要を削減可能と期待される」とした。

加えて、「電力需要の時間的シフトにより520-570万kw、空間的シフトにより75-145万kw、合わせて時空間シフトにより595-715万kwのピーク電力需要の削減が可能」とした。

また、機器による電力需要の削減、行動・ライフスタイルの変化、時間的・空間的シフトによる電力需要の削減について個別に提案を行った。

さらに、以下の点を提案した。
(1)電力需要の時間的・空間的シフトを実施するには幅広い関係者の協調的な行動が不可欠であり、産官民を挙げての協力・仕組みづくりに早急に取り組むこと
(2)節電の方策を継続的に議論する上でも電灯・電力の別、地域別の電力需要をリアルタイムで見える化し提供するようにする
(3)今夏以降〜数年後までの電力需要の見通しを示すことで、国民や企業に対する指針を提供すること
(4)新たな電力供給源の製造や建設について、電力事業体のみならず官民一体となって議論し、成案を得てそれを示すこと。