2011年05月09日
農水・環境両省、エチレンを特定農薬に大臣指定の方針
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:環境省、農林水産省

農林水産省と環境省の両省は、ナフサ分解で得られる工業用エチレンを、農作物や人畜及び水産動植物に害を与える恐れのない特定農薬(特定防除資材)に大臣指定する方針を固めた。

すでに、農作物のじゃがいもを収穫後の萌芽抑制をねらいに、低温(8℃)に管理された貯蔵庫内のエチレン濃度(空気で0.5%に希釈)を常時監視し間欠的に噴霧する使用法が普及し始めた。このため、農水省の「農業資材審議会農薬分科会特定農薬小委員会」と環境省の「中央環境審議会土壌農薬部会農薬小委員会特定農薬分科会」の合同会合で、特定農薬としてのエチレンの安全性、薬効などについて審議した結果、エチレンについて「特定農薬に指定しても問題ない」との結論が得られたため、両省はエチレンを特定農薬に大臣指定する方針を固めたもの。

エチレンが原材料からみて明らかに安全上問題ないものとして特定農薬に指定されれば、農薬取締役法による無登録農薬の製造、使用等の規制の対象外になる。

現在、エチレンは国内14カ所のエチレンプラントで生産され、石化原料となっているが、一部のエチレンは高圧ガス保安法に基づく容器検査に合格したボンベに充填され、溶接・溶断、冷媒等に用いられている。エチレンの充填工場は、国内に3カ所のみとなっている。

農水省によると、エチレンは加工食品用等馬鈴しょの長期保存に伴う萌芽抑制に有効なものとしてカナダやイギリスで農薬として登録、使用されている。日本でも北海道馬鈴しょ協議会が主体となって北海道の士幌など7地域の農協貯蔵庫で試用・導入を始めている。また、有機農産物の日本農林規格(JAS)で、調製用等資材としてバナナとキウイフルーツの追熟にエチレンを使用することが認められている。