2011年05月12日
産総研とJST、低コストで単層カーボンナノチューブの構造分離を実現
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:産業技術総合研究所、科学技術振興機構

産業技術総合研究所と科学技術振興機構(JST)は11日、多段のゲルカラムに単層カーボンナノチューブ(SWCNT)の分散液を注ぐだけで、炭素原子配列の異なる半導体型SWCNTを簡単に分離・回収できる技術の開発に成功したと発表した。

SWCNTには、炭素原子配列によって金属的な性質の金属型SWCNTと半導体的な性質の半導体型SWCNTが存在するだけでなく、同じ半導体型でも電気特性の異なるものが含まれている。

電子デバイスへの応用には、電気特性の異なるSWCNTを個々の構造に分離する必要がある。これは、電気特性の異なる多種類の半導体型SWCNTの混合物では、SWCNTの持つ高性能が十分に発揮できないからだ。そこで、高純度で安価かつ大量処理が可能な新たな分離技術の開発が求められていた。

今回開発に成功した技術は、ゲルを充填した多段カラムにSWCNTの分散液を注ぐだけで、電気特性の異なる半導体型SWCNTを精密に分離できる画期的な技術。使用する分散液は安価で、ゲルカラムは繰り返し使用でき、自動化が可能な分離手段であるため、低コストで大量分離が可能となるとみている。

産総研では今後、量産技術を確立し、単一構造半導体型SWCNTを次世代半導体材料として10年後の実用化を目指す。また、実用化を目指した応用展開を共同で開発するパートナー企業を求めている。