2001年02月26日
宇部興産、COF実装用・低弾性アンダーフィル材を開発
4月から宇部で量産・商品化をスタート
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:宇部興産

 宇部興産は26日、COF(Chip On Film)実装用に最適なイミド組成物をもつアンダーフィル材を開発した、と発表した。4月から山口県宇部市の生産設備で量産、商品化する予定で、年間5億円の売り上げを見込んでいる。
 COFは、ポリイミドフィルム等のフィルム基板にICペアチップを直付けする実装方式で、配線材料である銅とポリイミドフィルムを接着剤を用いずに貼り合わせた二層CCL(Copper Clad Laminates)は、薄型ベース基板として需要が伸びており、同社も「ユピセルN」として商品化している。この二層CCLのCOF化は、最も小型化・薄型化が可能なため今後が期待されている。
 また、アンダーフィル材は、ICチップと下地フィルム基板の隙間を充填、電気的絶縁を保持してICチップを固定する樹脂。今回のアンダーフィル材は、同社が長年培ったポリマー合成・調合技術を駆使して開発に成功したもので、硬化後の弾性率が200数十メガぱすかると既存品の10分の1程度と極めて低いことが最大の特長。このためICチップと下地基板間の応力緩和作用が強く、信頼性の高い実装を提供できる。このほかの特長は、(1)ICチップと下地基板の微細な隙間への進入速度が速く、隅々まで気泡を発生することなく充填可能、(2)無溶剤、無充填剤タイプでICチップ、下地基板双方との密着性に優れる、(3)低吸水性で、電気絶縁性に優れ、信頼性が高い、(4)従来のアンダーフィル材に比べ、粘度変化が小さく保存安定性が良い、(5)イオン性不純物が少なく、電気絶縁不良を引き起こさない、(6)狭ピッチ化(~マイクロメートル)、狭隙間化(~10マイクロメートル)への対応が可能、など。
 COF実装方式は、携帯電話のほか、デジタルカメラやモバイル機器への採用が急速に進んでおり、今後ノートパソコンをはじめとしたIT関連機器への広がりが見込まれる。このため同社は、アンダーフィル材の需要が大幅に拡大すると判断、同社の二層CCL材との組み合わせで販売を強化できると考えている。すでにユーザーでのサンプル評価も進んでおり、4月から宇部で量産、商品化する考え。