2011年05月13日 |
塩ビ管各社に戸惑い、“復興需要”見通しつかめず |
【カテゴリー】:経営 【関連企業・団体】:クボタシーアイ |
塩ビ管・継手協会がまとめた3月の塩ビ管生産量は前年比7%増の27,000トン、出荷は11%増の32,000トンと前年を大きく上回った。だが昨年が落ち込んでいた上、例年、期末の3月は需要が増えることもあり、東日本大地震によるとみられる影響はそれほどでもなかったもようだ。今後の“復興需要”への対応にも、メーカーの間には戸惑いがみられる。 同協会は塩ビ管・継手メーカー10社と、継手のみを生産している2社の計12社で構成。今回大地震による需給面への影響と対応についてはほぼ以下の通りとなる。 (1)3月の塩ビ管の需要の中には、一部に品薄観からくる“前倒し”傾向がみられた。 (2)地震の影響は、クボタシーアイの栃木工場と物流ヤードに大きな被害が発生し操業停止となった。また同社は小田原工場が計画停電の影響を受けた。このため一時は、堺工場や九州工場に生産拠点を移すなどの対策を講じた。その後被災工場は4月末に復旧し、現在は操業を全面再開している。 (3)東電管内に工場を持つ塩ビ管メーカー各社は、計画停電による影響のほうが地震よりも大きく、大幅減産を余儀なくされた工場もあった。 今後の需給見通しについては、被災地の仮設住宅の着工やライフライン復活への進捗状況にもよるが、メーカーの生産能力には現在10−20%程度の余裕があるため、直ちに設備を増やすなどの計画は出ていないようだ。 ただ、メーカーの間には、在庫の積み増しと夏場の電力需要ピーク対策をかねて、先のゴールデンウィーク期間中に休みを返上し工場をフル稼働させた企業(クボタシーアイ)も多かったようだ。 今後の“復興需要”については、「この先どの程度の需要が見込めるのか、検討がつかない。当面は備蓄で対応できるのではないか」といった見方が強い。過去に生産過剰を招き“悪戦苦闘”した経験を持つだけに、戸惑いは隠せないようだ。 |