2011年06月08日
富士フィルム、熊本に液晶TV向けフィルム新ライン建設
「災害リスク」分散、160億円投資
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:富士フイルム
「超広幅フジタック」の製造現場

富士フイルムは8日、フラットパネルディスプレイ材料の主要生産拠点である富士フイルム九州(熊本県菊池郡、坂本 敏社長)に約160億円を投資し、「超広幅フジタック」の製造ライン(第4工場・第8ライン)を新設すると発表した。生産能力は35百万円平方メートルで稼動開始は2012年12月の予定。

新工場では、特にシャープやサムスン電子などが大型液晶パネルに採用する「VAモード(垂直配向方式)」用のフィルムを増産する。

液晶テレビの視野角の拡大や明暗のコントラスト向上に効果があり、最大2300ミリの「超広幅VA用フィルム」の生産が可能。40インチ以上の大型液晶テレビの効率的生産に最適としている。

液晶テレビは、低価格化や高性能化により、新興国でも急速に需要が拡大しており、40インチ以上の大型液晶テレビの世界出荷台数は、年率30%以上のペースで増えている。2011年には全世界テレビの約50%を占める見込みだ。

こうした中、同社は「VA用フィルム」の供給量を2012年度には現在の2倍に増やす計画を進めている。
同社のフジタック供給能力は、富士フイルム九州で建設中の第4工場第7ラインが完成する今年10月には既存工場とあわせて780百万平方メートル(うち超広幅フィルム245百万平方メートル)となる。今回の第8ラインが完成するとさらに815百万平方メートル(280万平方メートル)に拡大する。

「VA用フィルム」は現在、神奈川県と静岡県の工場で生産しているが、災害対応力の強化とリスク分散の観点から、今回、生産子会社である富士フイルム九州に新ラインを建設することを決めた。

新製造ラインは、主に天然ガスコージェネレーション設備による自家発電力で稼動する。
また、本年4月に神奈川工場足柄サイトに稼動した新工場と同様、生産するフィルムの超広幅化、ラインのスピードアップとともに、生産工程で発生する蒸気を徹底して再利用するなどの省エネルギー対策を行うことで、単位面積あたりのエネルギー使用量を従来の半分にまで減らす。

また、新ラインの稼動に合わせ、現在主に「VA用フィルム」を製造している神奈川工場足柄サイト第2工場を、中小型ディスプレイ向け製品開発の為の専用ラインとし、需要が急拡大するタブレットPCやスマートフォン向けフィルムの新製品開発、及び生産を強化していく計画だ。

【新工場の概要】
・工場名 :富士フイルム九州 第4工場
・建設場所 :熊本県菊池郡菊陽町津久礼2900番地
・投資金額 :約160億円
・生産品目 :超広幅VA用フィルム(1330〜2300mm)
・生産能力 :年間35百万〓
・延べ床面積 :約15千〓


ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1307498469.pdf