2001年02月22日
昭和電工、シンガポールの半導体向け特殊ガス新会社が営業開始
台湾では4月に第2工場が稼動
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:旭硝子、昭和電工

 昭和電工は22日、シンガポールに設立した半導体向け特殊ガスおよび廃ガス除害設備・同再生事業を手がける新会社「Showa Specialty Gas Singapore Pte Ltd」が、このほど本格的に営業を開始した、と発表した。台湾、中国につく第3番目の海外営業拠点で、2005年に10億円の売上高を計画している。また、4月には台湾で第2工場が稼動する予定。
 同社は現在推進中の中期計画チータ・プロジェクトにおいて、半導体向け特殊ガス事業をコア事業の一つに定め、積極的に事業を展開している。同事業の売上高は2000年で約170億円、2002年には200億円を見込んでいる。これまでにもユーザーの海外進出にともなって1996年には台湾・新竹地区に、1999年には中国・上海に合弁会社を設立、営業拠点を開設している。今回本格的に営業を開始したシンガポールの新会社は、資本金100万シンガポールドル(約6,500万円)で、昭和電工が80%、台湾の合弁会社昭和特殊気体(台湾)が20%出資している。
 現在シンガポールには、6社9工場で半導体前工程の生産が行われており、政府主導のもと、2002年には9社17工場に拡大すると計画され、さらに近隣のマレーシアでも3工場の稼動が計画されている。昭和電工は、これまでシンガポールで日系ユーザーに対しては特殊ガスの納入実績があったものの、このほど外資系ユーザーからの特殊ガスおよび除害装置の受注に成功した。これを機にマレーシアなど周辺地区への展開も勘案し、シンガポールに新会社を設立したもの。
 さらに昭和特殊気体(台湾)では、ユーザーとの取引拡大にともなう安定供給体制強化のため、4月をめどに台南地区で第2工場を開設、2001年の売上高は前年比倍増となる40億円を見込んでいる。
 なお昭和電工は、特殊ガスについては1996年に米エアープロダクツ アンド ケミカルズと提携、ふっ素系特殊ガス生産設備を川崎事業所内に設置、1999年4月には旭硝子からふっ素系半導体向け特殊ガス事業を譲り受け、事業を強化している。このため半導体前工程で使用されるCL2、BCL3、CF4などのエッチングガスで約40%、クリーニングガスのC2F6は約60%のシェアを有し、このほか成膜用ガスのN2O、成膜ガス・青色LED用のNH3では50%の国内シェアを有している。廃ガスまた除害装置は、累計で1万台を超える出荷実績があり、1999年には温暖化係数の高いPFC(ふっ素と炭素からなる物質)用の設備も上市している。このほか設備や配管のコーティング事業、ほぼ純度100%のふっ素ガスをユースポイントで発生させるふっ素発生装置、半導体各工程で使用される洗浄・リンス液用有機系溶剤、フォトレジスト向け高純度無機系溶剤など、半導体関連周辺分野で積極的な事業展開を進めている。