2011年06月16日
名大・甲南大、神経ネットワークの情報伝達に新たな発見
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:科学技術振興機構

科学技術振興機構(JST)は15日、名古屋大学大学院の森郁恵教授と甲南大学の久原篤講師らの研究グループが、線虫を用いた研究により、神経細胞が別の神経細胞へ2つの相反する情報を伝えていることを発見したと発表した。

人間と線虫では神経情報処理の仕組みの多くが類似しているため、この発見は人間の脳の情報処理の仕組みや脳疾患の原因などの解明に大きな前進になるとみられている。

研究チームは、神経ネットワークがわずか302個の神経細胞から作られている線虫のC.エレガンス(土壌に生息する非寄生の線虫)の神経活動を最新の光技術で人工的に操作した。その結果、温度感覚の神経ネットワークで1つの温度感知神経細胞が、それと接続する1つの介在神経細胞に興奮性(プラス)と抑制性(マイナス)の相反する2つの情報を伝えていることを発見した。

この発見によって神経細胞が従来考えられていたよりも、より多くの情報を伝達しうることが示された。
また、線虫は興奮性と抑制性の情報のどちらかを多めに伝えることで、高温または低温な方へ移動していることがわかった。