2011年06月20日
宇部興産、新技術のAMC、宇部ケミカル工場で事業化
【カテゴリー】:経営(新製品/新技術)
【関連企業・団体】:宇部興産

宇部興産は20日、独自技術でAMC(多層カーボンナノチューブ)の製法を開発したため、プラスチックなどの導電材料として事業化すると発表した。現在、投資額10億円で宇部ケミカル工場(山口県宇部市)に年産能力20トンの製造設備建設を進めており、今年10月に稼働開始の予定。2015年度に50ー100億円の売り上げを見込んでいる。

同社は、COガスを原料としてDMC(炭素ジメチル)などC1ケミカル製品を製造しているが、2005年からCOガスを原料とするAMCの研究開発に着手し、ポリマー・電池分野を中心に試作に取り組んでいた。

この結果、独自開発の触媒と製法により、繊維構造の中に釣鐘構造(節構造)を持たせ、分散性及び導電性に最適な性能を実現したAMCを開発した。

飛散し難く、ハンドリング性が高いのが特徴で、従来タイプのカーボンナノチューブやカーボンブラックを使用するのに比べて生産効率が大幅改善できる。パウダー、溶媒、ペレットの3つの形状で商品化する予定。

同社は今後、リチウムイオン電池(LiB)用電解液・セパレーター・メーカーとしての技術・経験を活かし、電池分野における新しい機能材料として展開していく方針。リチウムイオン電池の正極・負極の導電助剤としての需要拡大を見込んでいる。

また、導電材料としてナイロンやABS樹脂、ポリカーボネートなどの熱可塑性樹脂に配合することで、帯電・静電防止機能を持たせることができるため、半導体搬送容器、OA機器部材、静電気除去シート向けなどとして拡販していく方針である。


ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1308555537.pdf