2011年06月23日 |
公取委、水島地区エチレンと三井のPET樹脂統合事例説明 |
【カテゴリー】:行政/団体 【関連企業・団体】:旭化成ケミカルズ、帝人化成、三井化学、三菱化学 |
公正取引委員会はこのほど、2010年度の主要企業結合事例について、独禁法運用指針(ガイドライン)に基づく 審査結果をまとめ発表した。事例として取り上げたのは計12例。化学関係では(1)旭化成ケミカルズと三菱化学による水島地区のエチレン事業統合(2)三井化学・帝人化成によるボトル用PET樹脂事業の統合、の2件について審査の経過や「独禁法上問題ない」と判断した理由などを、要旨以下のとおり説明した。 【旭化成ケミカルズ・三菱化学の水島地区エチレン事業統合】 (1)概要 :両社が共同出資による有限責任事業組合を設立することによって、水島地区の石油化学基礎製品製造事業を一体化する計画。販売事業はそれぞれ独自に行う。 (2)一定の取引分野 :統合の対象となる石化基礎製品のうち、競争に及ぼす影響が大きいと考えられる品目はイソプレンである。主に合成ゴム原料として使用され、代替商品は存在しない。 市場シェアは三菱化学約15%、旭化成ケミカルズ約10%で合算すると約25%・第1位となる。ただ、イソプレンの国内需要量は、供給量に比べて少なく、需要者が供給先の切り替えを行うことは容易である。当事会社に対して、対抗的な交渉力を有していると考えられる。 (3)独禁法上の評価 :本件行為によって共通化すると考えられる誘導品の原料の製造コストは、両社が販売する誘導品の製造コストの一部を占めるにすぎず、直ちに誘導品価格にまで反映される恐れは低い。従って、一定の取引分野における競争を実質的に制限することとはならないと判断できる。 【三井化学・帝人化成によるボトル用PET樹脂事業の統合】 (1)市場シェア :耐熱ボトル用PET樹脂の市場規模は約430億円(09年)、三井化学のシェアは約30%、帝人化成は約15%で、合算約45%・第1位となる。 (2)競争事業者 :市場シェアが10%を超える有力な競争事業者は4社以上存在する。競争事業者の設備稼働率は 約8割程度で、競争事業者の供給余力は一定程度存在する。ボトルメーカーは価格差や品質差を考慮した上で輸入品を代替的に使用しており、輸入圧力も存在すると認められる。 (3)需要者からの圧力 :耐熱ボトル用PET樹脂の需要者であるボトルメーカーは、飲料メーカーの激しい価格競争により、飲料メーカーから強い競争圧力を受けている。ボトルメーカーも複数の樹脂メーカーと取引しており容易に使用樹脂を切り替えることができる。 (4)独禁法上の評価 :以上のような理由により、一定の取引分野における競争を実質的に制限することとはならないと判断した。 |