2011年06月29日
東大院・谷口教授ら、免疫反応を抑制するオリゴ核酸開発
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:科学技術振興機構

科学技術振興機構(JST)は28日、東京大学大学院の谷口維紹教授らの研究グループが、核酸を認識する多くの受容体の働きを一度に阻害して、免疫反応を抑制するオリゴ核酸(ISM ODN)の開発に成功したと発表した。

自己免疫疾患では、自分のDNA(デオキシリボ核酸)やRNA(リボ核酸)といった核酸や、炎症などに伴って起きる細胞死によって放出される核酸が抗原として免疫系によって認識されて、免疫系を活性化し、症状を悪化させることが知られている。症状を治療・軽減するためには、この反応を抑制化する仕組みとして、核酸を認識する受容体の働きを抑えることが重要であった。しかし、核酸を認識する受容体が複数あるため、これを一度に抑えられる阻害剤はなかった。

今回の研究では、あらゆる核酸による免疫反応の活性化には、核酸の監視役であるHMGBたんぱく質が必須であることを見いだした。その知見をもとに、HMGBたんぱく質に強く結合するISM ODNを開発した。また、ISM ODNがさまざまな核酸によう免疫反応を抑制することがわかった。

開発したISM ODNに類似した化合物や、HMGBたんぱく質に強く結合する化合物を開発することは、将来、自己免疫疾患や敗血症などの治療に役立つと期待される。