2011年07月14日
NIMS、世界最高性能のナノ誘電体膜の開発に成功
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:科学技術振興機構

科学技術振興機構(JST)は14日、物質・材料研究機構(NIMS)の長田実・MANA研究者らが、分子レベル(厚み1ナノメートル=1nmは10億分の1m)の酸化物ナノ結晶(ナノシート)において、化学組成と構造を自由自在に制御する精密ドーピング技術を開発するとともに、この技術を誘電性ナノシートに応用することで自在な特性制御を実現し、ナノレベルの厚さで世界最高性能の誘電体膜(誘電率320)の開発に成功したと発表した。

開発した高誘電体ナノシートは、極薄ながら世界最高の誘電率と優れた絶縁特性を有するため、今後一層の小型、高機能化が期待される携帯電話、パソコンなどのモバイル電子機器に対して、小型、大高容量の薄膜コンデンサやメモリ用の材料としての応用が期待される。

とくに、現在、携帯電話やパソコンなどに使われている薄膜コンデンサでは、希土類を置換したチタン酸バリウムなどが使われているが、今回開発した高誘電体ナノシートは、安価で地球上の多くに存在する酸素、チタンをベースにしており、資源の制約を受けずに製造できる「元素戦略」材料としても重要なターゲットになると期待される。