2011年07月20日 |
東工大、高性能薄膜トランジスター特許をサムソン電子にライセンス |
【カテゴリー】:行政/団体 【関連企業・団体】:科学技術振興機構 |
科学技術振興機構(JST)は20日、東京工業大学の細野秀雄教授らが発明した高性能薄膜トランジスター(TFT)特許のライセンス契約を韓国のサムソン電子と締結したと発表した。 細野教授らは、高い電子移動度を備えた「透明アモルファス酸化物半導体(TAOS)」の設計指針を提唱するとともに、JST創造科学技術推進事業で、TAOSの一つであるIGZO(インジウム・ガリウム・亜鉛で構成されるアモルファス酸化物の略称=イグゾー)を使ったTFTを室温で作製し、2004年に英国科学雑誌ネイチャーで発表した。 IGZOを使ったTFTは、これまでのディスプレイで使用されているアモルファスシリコンに比べて電子移動が10-20倍程度高いことから約10倍の高解像度化が可能で、さらに既存の材料に比べて低温で、しかも容易にプラスチックフィルム上でも作製できることから、今後用途が広がると期待されている。 今回、世界トップのディスプレイメーカーと契約することは、ディスプレイ業界における高解像度・3次元・大型液晶ディスプレイ製品への応用を促すとともに、スマートフォンやタブレット端末など中小型ディスプレイ、さらには電子ペーパーなどへのIGZO TFTの応用を加速するもので、今後ほかのディスプレイメーカーからも同様の動きが期待される。 市場が10兆円規模ともいわれる世界のディスプレイ産業へ、日本発の基礎研究の成果が大きなインパクトをもたらすものと期待される。 |