2001年02月15日
ABS樹脂、中国の冷蔵庫用途は韓国勢が独占
一方で中国の冷蔵庫市場は今後飽和状態へ~競争は激化
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品
【関連企業・団体】:なし

 冷蔵庫向けのABS樹脂は、韓国勢がシェアを拡大、中国市場を独占しつつある。ただし、中国の冷蔵庫需要も今後飽和状態になると見られ、これにともないABS樹脂メーカーの競争も激化すると予想される。
 冷蔵庫は、ABS樹脂の家電分野のなかでも主力用途にあたり、日本国内では成長が鈍化しているものの、アジア地域、特に中国では生活水準の向上にともなってこれまで需要を拡大してきた。一方で、特殊化路線を進めている日本のメーカーにとっては、付加価値の取りにくい用途ということもあり、最近は第一毛織やLG化学などの韓国勢が中国市場でシェアを拡大、独占しつつある。
 しかし、中国の冷蔵庫需要も今後の見通しは厳しい。中国の国務院発展研究中心は先頃、2000~2005年の都市部における家電市場について調査結果をまとめた。これによると同国の家電市場は、調整期を迎え、今後は飽和状態に向かうとしており、さらに消費者の購買力も低下すると見られている。現在でも冷蔵庫は、都市部での普及率がすでに85%を超えているほか、10年前に3倍以上の伸びを示していた生産台数も、1999年の成長は1%を下回っている。このため今後家電メーカーの業績は悪化、競争が激化する見通しであるとしている。
 現在は順調に数量を伸ばしている韓国勢も、今後は中国国内のABS樹脂メーカーを含めた争いが激しくなり、厳しい状況となる可能性が出ている。