2011年09月02日
九州大学、造血幹細胞の新たな維持機構を解明
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:科学技術振興機構

科学技術振興機構(JST)は2日、九州大学生体防御医学研究所が、細胞分裂を調節するたんぱく質であるp57が造血幹細胞の維持に重要な役割を果たしていることを明らかにし、維持機構の解明に成功したと発表した。

血液には白血球や赤血球、血小板など多種類の細胞が存在するが、これらの細胞は造血幹細胞という共通の細胞から作られている。

通常、造血幹細胞は細胞分裂をほとんど行わないが、稀に分裂して自己を複製する(造血幹細胞を増やす)場合と、増殖が盛んな血液前駆細胞を産生する場合があり、血液前駆細胞はその後、さまざまな血液細胞に分化していく。この造血幹細胞の分裂を抑えることが、造血幹細胞を維持し血液を作り続けるために重要であると考えられている。

今回九大は、p57が造血幹細胞の細胞分裂を抑えることが、造血幹細胞の自己複製に重要であることを突き止めた。今後、p57の機能の詳細を解明することにより、試験管内で造血幹細胞から血液を産生して自分自身に輸血する技術開発への応用が期待される。

試験管内での造血幹細胞の大量増殖が可能となれば、輸血だけでなく、白血病など多くの血液疾患に対する再生治療への道が広がると期待される。