2011年09月13日
東大院、コレラ毒素の細胞内侵入経路を発見
【カテゴリー】:新製品/新技術(ファインケミカル)
【関連企業・団体】:科学技術振興機構

科学技術振興機構(JST)は13日、東京大学大学院が、コレラ菌を放出しコレラを発症する原因となるコレラ毒素(コレラは、激しい水様性の下痢を伴う致死的な細菌性感染症)が細胞内に運ばれる経路を発見し、その運搬経路が毒素感染に必須であることを明らかにした、と発表した。

これまで、コレラ毒素は細胞外から細胞内に取り込まれてその毒性を発揮することが分かっていたが、どのようにして毒性を発揮する場所に運ばれてくるのか、詳細な細胞内の運搬経路は明らかになっていなかった。

今回、東大院の研究グループは、生体内のほとんどの臓器、組織に存在しているエベクチン2たんぱく質の機能を研究する中で、エベクチン2たんぱく質がコレラ毒素の細胞内での運搬経路のうち、これまで解明さていなかった部分(細胞膜からゴルジ体にいたる過程)の物質輸送を制御するたんぱく質であることを発見した。

エベクチン2たんぱく質のない細胞では、コレラ毒素が細胞内の運搬経路の途中で蓄積してしまい、毒素感染の指標の上昇も抑制された。

今回の発見により、コレラ毒素の細胞への侵入経路が明らかになり、この運搬経路を標的とした新たな抗毒素薬の開発につながると期待される。