2001年02月13日
宇部サイコン、自動車外装部品向けなどで用途開拓に注力
ユーザーと共同で開発/住宅建材部品にも期待
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品
【関連企業・団体】:日本ABS樹脂工業会

 宇部サイコンは、得意としているASA樹脂などを用いた自動車外装部品分野の用途開拓に力を入れていく考えだ。ABS樹脂の需要は、ユーザーの海外移転などにより厳しい状況となっているが、ユーザーと共同で用途を開拓、より高付加価値な製品の拡販を目指す。
 同社が力を入れるのは、ドアミラーハウジングなどの自動車外装部品で、昨年専用グレードを開発、すでに一部の新型車に採用されている。自動車メーカーにとっても、塗装を必要としないことから工程を省略することができ、トータルコストの削減につながるのがメリット。同社に限らず日本のABS樹脂メーカーは、各社ともより付加価値の高い特殊グレードの拡大に取り組んでいるが、同社としてはユーザーと共同で開発、提案していくタイプの営業を強化に取り組んでいく方針。
 このほか、今後さらに需要の拡大を期待しているのは住宅建材部品用途で、昨年は日本ABS樹脂工業会の統計でも毎月2桁の増加を記録、暦年で4万1,296トンと前年を17%上回った。同社は、「ABS樹脂の住宅建材部品は、塩ビ代替を中心に需要を伸ばしている。現在でも塩ビ製建材と同等の価格で供給すれば、飛躍的に数量を伸ばすことができるが、それでは価格競争に陥ってしまうため、何らかの付加価値に魅力を感じてもらえるよう努力していきたい」としており、高付加価値グレードの開発にも取り組んでいく考え。
 同社では、主力のABS樹脂のほか、AES樹脂、ASA樹脂などを生産しているが、今後はASA樹脂の比率が拡大していくと見ている。