2011年10月21日
東レ、後加工による耐加水分解性ポリエステル繊維を開発
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:東レ

東レはこのほど、ナノテクノロジーによる繊維改質技術「ナノモディ」を用いた新商品の第2弾として、滅菌洗濯に対応できる耐加水分解性に優れた後加工の基本技術を確立し、後加工による耐加水分解性ポリエステル繊維を開発した。

同技術により、滅菌洗濯における高圧水蒸気処理での布帛強度低下を大幅に低下できる。このため東レでは、同技術を滅菌洗濯が必須であるユニフォーム用素材向けに、今年度中に量産技術を確立し、2012年4月からの本格生産開始を目指す。

ポリエステル繊維は、一般衣料用途では非常に安定的な素材であるが、高温多湿の環境下に長時間放置するとポリエステルを構成するポリマー鎖の活性末端により加水分解が起こるため、経時的に強度低下が発生する。このため、ユニフォーム用途では、滅菌洗濯のようにオートクレーブの高圧水蒸気の環境下で繰り返し滅菌処理されるような利用は不可能だった。

今回同社が開発した後加工による耐加水分解性ポリエステル繊維は、「ナノモディ」技術を用いて繊維内部にまで機能薬剤分子を浸透・拡散させることで、ポリエステル繊維を構成するポリマー鎖の活性末端を不活性化し、優れた耐加水分解性を発現することに成功したものである。同技術は、後加工という汎用性を活かし、あらゆるポリエステル素材への対応が可能となる。

同社は、ユニフォーム用素材を来年4月から本格生産を開始するが、病院および介護ウェア、ワーキング等の用途展開を進める方針である。