2011年10月24日 |
山口東京理科大、高活性の金原子触媒を開発 |
【カテゴリー】:新製品/新技術 【関連企業・団体】:科学技術振興機構 |
科学技術振興機構(JST)は24日、山口東京理科大学(山口県山陽小野田市)の戸嶋直樹教授らの研究グループが、JST課題達成型基礎研究の一環として、「クラウン・ジュエル」(王冠の宝石)と名付けられた新しい金原子触媒の開発に成功したと発表した。 金触媒は、他の金属触媒に比べ低温での酸化反応に優れた活性を示すが、コストの面から、より少量でより高い活性の触媒の開発が望まれていた。 今回、戸嶋教授らの研究グループは、パラジウムのナノ粒子集団の頂点の原糸12個すべてを金原子と置き換えたクラウン・ジュエル触媒を合成した。金原子をこの特別な位置に配置すると、極めて高い触媒活性を示すことが明らかになり、実際に食品添加剤として最も多く使われているグルコン酸をグルコースの酸化反応で合成することができた。 この酸化反応でクラウン・ジュエル触媒は、パラジウムナノ粒子に比べて3.8倍の高活性で、金単独のナノ粒子と比べても3.1倍という高活性を達成した。さらに、金原子のみに着目し、触媒の単位時間当たりの反応性を示すターンオーバー頻度(触媒回転頻度)でみると、クラウン・ジュエル触媒は1時間当たり19万回となり、金ナノ粒子の6000回を大幅に上回った。しかもグルコン酸がほぼ100%の選択率(特定の物質を選択的に生成する割合)で生成した。 この新しい金原子触媒は、グルコン酸を高収率、高選択率で製造することを可能にしたため工業的にも注目されるだけでなく、環境に優しい化学合成のグリーンケミストリーや脱臭剤など幅広い反応の触媒開発に応用されることが期待される |