2001年02月08日
三井化学、リチウム電池用セパレータも本格企業化へ
来年春には岩国大竹に年産900万平方メートル体制を整備
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:三井化学

 三井化学はSBDU(戦略事業開発ユニット)の1つとして独自の技術でリチウムイオン二次電池用セパレータを開発し、商品名「ハイレット」で市場開拓を進めてきたが、ここにきてユーザーの間で評価が急騰し、安定需要を確保していける見通しがついてきたという。このため今年4月にも本格企業化に踏み切ることになりそうだ。
 同社が開発に成功したセパレータは、同社特有の超高分子量ポリエチレン(商品目・ハイゼックスミリオン)を原料に同社独自の製法で製膜加工した微細孔薄肉フィルム。細孔が均一なのでイオンの透過性能が高いこと、耐熱性に優れるため外部からの温度変化に対しても細孔が変形したり消滅したりして機能が低下する心配がないこと、安定した形状を保持していけるのでこれからの普及が期待されるラミナートフィルム電池に対する適合性が特に優れていること--などが大きな強みという。
 細孔の大きさは0.3μ以下。フィルムの厚みは電池の種類によって異なるが、9μから25μ。
 リチウムイオン二次電池は、携帯電話やノート型パソコンの普及に伴って需要が急速に拡大している。関係業界の間では、2000年度の需要量は前年度を約40%上回ることになると見る向きが多い。今後もなお大幅な伸びを続けるとの見方が一般的だ。中でも、より薄型で軽量タイプのラミネート電池の伸びは特に大きいと予想されている。
 三井化学は数年前からリチウムイオン二次電池の電解液を手がけてきているが、今回のセパレータが加わると同電池分野に一段と強力な基盤を構築できることになる。現在は、岩国大竹工場内の年産300万平方メートル設備で生産しているが、来年春にも同600万平方メートル能力の大型設備を加えて合計900万平方メートルの量産体制を整えたいとしている。