2011年10月27日
エコシティ 中国が本格取り組み、唐山市にモデル第1号建設
【カテゴリー】:海外
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中国の工業用地建設が地域ごとに連携し、大型化する傾向を見せる中、単なる生産基地から環境保全を目指す「エコシティ」として計画されるケースが増えている。広州―深セン―恵州―香港、瀋陽―大連、北京―天津―唐山などのグループが先行している。

この背景には高速鉄道、高速道路が普及したことや港湾、観光、大学(学園都市)などの整備が必要になっていることがあるが、特にこれまでの輸出加工型の産業から国内市場開拓型への構造転換に力を入れる中国政府の取り組
みが推進力となっている。

エコシティの建設で経済技術開発区、科技園などで働く労働者の生活、教育、医療の向上や省エネルギー、農民工などの労働者の吸収、観光客の増加などを図ることにしている。都市環境の整備によって外国企業の誘致も増やす考え。国際都市としての存在感も高まる。

エコシティ構想は現在、中国200余りの都市が検討しているといわれる。その中の一つに河北省唐山市の曹妃■工業区(エコ工業パーク、2,143平方キロ)がある。第11次5カ年計画(06-10年)で取り上げられた。

すでに大埠頭・物流区(水深30メートル、鉄鉱石年1億トン以上)やLNG1,500トン、鋼材700万トン、原油7,000万トン、石炭2億トン、コンテナ150万TEU、貨物1,000万トンなどを扱っている。金属鉱石、石灰石、石栄、金、銀、銅、アルミ、天然ガス、石油などの天然資源が豊富にある。

また、第1期970万トン(計画3,000万トン)の鉄鋼生産、年60万キロワット(計画460万キロワット)の石炭火力発電が完成、今後、年2,000万トン、エチレン250万トンのセンター建設にも着手する。

同工業区は河北省唐山市(人口750万人、一人当たりGDP7,500万ドル余)の計画だが、北京、天津との一体化が進んでいる。中国政府が特に北京―唐山、北京―天津(各30分)の高速鉄道をすでに完成、天津―唐山間も年内に完成する。

空港も従来の北京の首都空港、天津濱海空港、唐山三女河空港、秦皇国際空港に加えて唐山―秦皇間に翼国際空港が建設されている。

エコシティとしてはこの6月に野村総合研究所が曹妃甸エコシティ管理委員会と都市開発、実行支援を行うことで契約調印した。当面、曹妃■工業区の東側約3.6キロの30平方キロ(2020年までに74平方キロに拡大、人口80万人)に建設する。

道路建設、河川整備、生活サービス基地、学校、病院、ホテルなど。低酸素住宅・家庭電器などの低酸素生活理念を提唱する。2011年の投資額は212億元(総額534億元)で、公共施設、住宅、土地造成、道路・橋梁、景観などを予定。

風力、太陽光、地熱などの再生可能なエネルギー開発、ごみや再生水の回収などもおこなうことにしている。
問い合わせは唐山市日本事務所(TEL:06-6344-3225)

(注)■は「旬」の字の中が「日」ではなく「田」。